世界のフィールドから From "Fields" around the World

2025年3月号

今年の収穫はどんなねぇ。

玉木陸斗 (東京農業大学国際食料情報学部宮古亜熱帯農場)

専門:作物学・民族植物学、フィールド:琉球

毎回調査で来島するたびに、お土産を持参してユンタク(おしゃべり)しながら、農業のことや伝統行事や料理について教えてもらっているおばぁの元を訪ねました。お宅を訪ねたところ不在で、携帯に電話してもつながりません。どこにいるのか考えたとき、冬の時期は海仕事をしていることを思い出しました。集落の浜辺を歩きながらおばぁを探していると、岩の陰で作業している姿を見つけました。

この島では、潮が引くと岩礁にヒトエグサ(アーサ)が付く光景が見えます。緑色の絨毯を敷いたような光景。おばぁは「少しで終わるさぁ」と言い、洗い終わるまで雑談を楽しみました。その後、一緒に歩いて家へ帰ることに。歩きながらユンタクをして、おばぁは今年のアーサは「昔に比べたら、今は採れる期間が短くなって、時期が過ぎると赤くなる。最近は乾燥アーサより生のアーサがよく売れるさぁ。生アーサは乾燥アーサよりは手間がかからないから上等さぁ、でも来季も収穫できるかねぇ。最近の夏は暑くて海水温が高いからちょっと心配」と言い、アーサの採れる場所や岩礁の特徴についても教えてくれました。

家に戻って、おばぁは「お茶でも飲んでゆっくりしていたらいいさぁ」と優しく迎えてくれました。お茶をいただきながら、アーサの話、雑穀の成長具合、行事菓子の作り方などをたっぷり学びました。このように知識を豊富にもつ先達たちから話を聞く機会というのは、限られていると感じます。私の学問である、民族植物学においては、今できることに全力で取り組むことが大切だと思います。本当にどの地域に行っても、話を聞いて記録に残せることができるのは時間との勝負だと痛感します。

撮影フィールド

石垣島

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