東アジアの文脈から「宗教」を問い直す――物質・身体・感覚
本シンポジウムでは、日本・中国大陸・台湾の事例を取り上げ、宗教実践の現場において、人々がいかに目に見えない超越的存在を感じ取り、それと交渉し、意味づけているのかを、東アジアの文脈から明らかにすることを目的とする。そこで注目するのは、教義や信仰を中心とした宗教実践ではなく、物質や身体感覚、雰囲気、さらには人々の予想を超えて生じる偶然的な出来事を媒介として生成される宗教経験である。日本・中国大陸・台湾で長期的なフィールドワークを行ってきた研究者が、それぞれの民族誌的事例を提示し、こうした宗教経験が具体的な実践のなかでいかに立ち現れるのかを検討する。これらの事例を比較することで、人間を信仰の主体とみなす前提や、精神と物質を二元論的に捉える西洋的な宗教理解を問い直す。さらに、物質・感覚・環境・出来事と人間との関係から宗教経験を捉え直すことによって、東アジアを単なる地域的事例としてではなく、宗教概念そのものを再構築するための理論生成の場として位置づけることを目指す。
