
世界のフィールドから
From "Fields" around the World
2025年4月号
グルグラムで見た光と陰
村上梨緒 (東京外国語大学大学院総合国際学研究科)
専門:地域研究、フィールド:インド
インドの首都デリーのすぐ近くにあるグルグラム(グルガオン)は、今インドで最も発展が進んでいる都市の1つだ。外資系企業の支社が並んでおり、そこで働く人達のためのマンションが続々建設されている。また、ショッピングモールが立ち並んでいて、買い物にも映画鑑賞にも困らない。グルグラムを訪問した理由は、グルグラムにあるモールとレストランでLGBTQイベントが開かれると聞いたからである。モールで開かれたイベントは、マッチングアプリのTinder主催によるものだ。クィア当事者によるイベントや、当事者あるいは支援に積極的な人々によるお店がお祭りのように開かれていた。オープンスペースで、家族で買い物へ行ったついでに立ち寄れる雰囲気なのは意外なことであった。日本でも同様のイベントは徐々に開催されつつあるけど、恐らく当事者や支援者等一部を対象にしたものが主流だろう。
もう1つのイベントは、グルグラムの高級地区にあるレストランで行われていた(日本で言うと、六本木ヒルズのような雰囲気に近い)。ライブを見ながら食事を取れるレストランで、プライド月間ということで当事者であるアーティストがライブをしていた。会社帰りの人や家族連れも多く、“クィアだから”というよりも、普通に食事をするために訪れているという印象で、モールの時と同様、良い意味で裏切られた。
しかし、グルグラムはそのような側面で終わる街ではない。発展という眩しい側面が強調されればされるほど、陰も深まる。一杯500円の飲み物を飲む家族が遊ぶモールのすぐ外には一日の食事すら取れない家族が暮らしており、高級マンションの向かいには掘っ立て小屋みたいな家々が並んでいた。グルグラムは、急速な発展に乗れた層とそうでない層を浮き彫りにする、ある意味今のインドを象徴する場所だ。キラキラインド駐在生活は憧れるけど、私にグルグラム生活は向いてないと思った滞在であった。
撮影フィールド
インド、ハリヤーナー州、グルグラム