世界のフィールドから From "Fields" around the World

2026年1月号

ニューヨークのセネガル人 ムリッド教団

羽星有紗 (フォトジャーナリスト)

フィールド:アメリカ/ニューヨーク州

私はフォトジャーナリストとして、ニューヨークに暮らすムリッド教団を取材している。ムリッド教団は、セネガルのイスラーム神秘主義の教団であり、ニューヨークには1970年代から、西アフリカ以外では最大のコミュニティが形成されてきた。2024年秋から、私は毎週日曜に開かれる「ダイラ」と呼ばれる宗教集会に通っている。今では、ウォロフ語で簡単なやり取りができるようになった。

ここでのダイラは、宗教的な場であると同時に、相互扶助のネットワークでもある。私が通うダイラには、2023年にアメリカへ入国した男性が多く、彼らは「セネガル—グアテマラルート」と呼ばれる、当時主流であった密入国経路を経て渡ってきた。アメリカに到着しても現実は厳しい。家がなく、言葉も通じず、お金も仕事もない。そんな中、ダイラのネットワークを通じて難民シェルターから部屋を見つけ、食べ物や衣服を分け合い、生計を立てるための情報や商品を共有し、亡くなった仲間の遺体を祖国へ送るための募金も行われている。

しかし、2025年6月以降、いつもの顔が少しずつ消えている。トランプ政権下で強まった「不法移民」排除政策の影響で、難民申請裁判の直後にICE(移民・関税執行局)に拘束され収容所へ送られた人、仲間の拘束を目撃して他州や他国に身を隠した人もいる。近ごろは抜き打ちの滞在証チェックが日常化し、彼らは警察の姿を見るだけで身を固くする。10月には、セネガル人商人が多く働く区画で大規模な「見せしめ」の強硬な取り締まりが行われた。その区画は、労働許可を持たない人や、アメリカ社会に馴染めず正規の職に就けない人が、アクセサリーなどをインフォーマルに販売することで知られている。セネガル人9人が拘束され、ダイラのメンバーに衝撃が走った。

困難が続き、恐怖が加速する日々。「ICEが怖い」「お金がない」とこぼしながらも、「心が清ければ大丈夫。Yallah Baxna(神は善きもの)」と彼らは語る。そして、ダイラで祈りを重ねる。

撮影フィールド

アメリカ、ニューヨーク州、ニューヨーク市、ハーレム