フィールドネット・ラウンジ Fieldnet Lounge

2022年

2022年12月11日

終了しました

躍動する南アジアのポピュラー音楽文化の諸相

多民族・多宗教・多文化が混在する南アジアでは、さまざまな音楽文化が人々によって奏でられ、歌い継がれてきた。そのような音楽文化は、ある時は共同体をつなぐ絆となり、ある時は権力に対しての抵抗運動となり、そしてある時は言葉にできない心情の表現となった。本ワークショップでは、南アジアにおいて発展してきたポピュラー音楽の諸相について議論を深める。  インドでは長らく映画音楽産業の中でポピュラー音楽シーンが形成された。しかし、近年のインディーズ・レーベルの勃興は、これまでのポピュラー音楽シーンとは違う新たな潮流を生み出している。さらにその流れは海を超えて、南アジア系移民の音楽ともつながり、ハイブリッドな音楽文化が形成されている。  一方、インド各地域のポピュラー音楽も、それぞれの歴史と文化に根差し、他地域の音楽に影響しあいながら、たくましく息づいている。そして周辺国に目を向ければパキスタンやバングラデッシュには、詩歌の伝統を汲むポピュラー音楽の文化が豊かに発展している。このように地域や国境を越え、南アジアのポピュラー音楽シーンは新たな時代を迎えているといっても過言ではないだろう。  一方、南アジア音楽文化の将来については、楽観視できない現状もある。社会問題や権力関係性において、どのような方向に向かっていくのだろうか。西洋主流のポピュラー音楽産業に対して、本地域のポピュラー音楽文化はなにを提示していくことができるのか。 南アジアのポピュラー音楽文化の諸相について参加者で分かち合いたい。

2022年2月12日

終了しました

『みんな、ここを通った』~戦争・交易・巡礼から見るヒマラヤ交易路の盛衰史

ネパール北中部の要衝・ラスワを経由してヒマラヤを南北に貫くキロン-ラスワ道路は、古来よりカトマンズ盆地と西チベットのキロン地方を繋ぐ幹線道として、平時にはキャラバンや巡礼者が往来し、有事には軍用路として機能してきた。ネパールの歴代王朝の政治・経済を支えたこの道路は、時代の趨勢により20世紀には幹線的機能を大幅に低下させたものの、今世紀に入って中国主導の巨大経済圏構想・一帯一路の基幹インフラとして復活し、再び脚光を浴びることになった。本企画では、多分野にわたる学際的な見地から、ひとつの交易路の歴史的盛衰を多角的に検討することで、辺境地域の近代化に対する単純な開発礼賛や、その対極をなす伝統社会偏重論などの近視眼的な議論を退けつつ、近代国家による間地域的干渉関係の渦中にある国境地帯に新たな角度から光を当てる。