「探る」—環境を読み解く実践からナヴィゲーションを問い直す
「探る」という行為は、人類にとって普遍的な営みのひとつである。本シンポジウムでは、都市や森林、海のような環境における「探る」実践の諸事例の検討を通じて、人びとがいかに周辺環境を読もうとしているか明らかにすることを目的とする。移動やナヴィゲーションの研究では、目的地への到達や、多数の情報の中から特定の情報を探し出し、方向や「道」を見出す行為が注目されてきた。このように利用可能な情報や手がかりを「探る」実践を通した周辺世界の捉えかたもまた、広義のナヴィゲーションといえよう。こうした実践は、多様な自然環境に適応するための生態知として注目されてきたが、当然ながら都市や街でもおこなわれている。それはまた、流動的な環境のなかで、生業や娯楽など異なる目的に基づき、ときに機械や道具が媒介して、日々営まれてきた。本企画はこのような背景に着目しながら、日本やインドネシア、スペイン、ドイツをフィールドとする研究者が経験し観察してきた事例から議論を立ち上げる。必ずしも固定的な目的地を設定しない実践のなかで、人々がいかに周辺環境と対峙しているのかという視点からナヴィゲーションのありかたを問い直そうとする。
