交差する⽣活:東アジア3国におけるムスリム移⺠の⽣活実践と社会的ダイナミクス
日本、韓国、台湾に暮らすムスリム移民の日々の生活やコミュニティのつながりを探り、国家の「統合」政策だけでなく、彼らがどのように地域社会と関わっているのかを考えます。移民本人や活動家の視点を直接聞くことで、学術研究と現場の経験を結びつけ、現実に即した東アジア地域のダイナミクスを比較し、より広い視野で理解を深めることを目指します。
Fieldnet活用の場として
シンポジウムやワークショップ等の企画を
毎年2件程度募集しています。
日本、韓国、台湾に暮らすムスリム移民の日々の生活やコミュニティのつながりを探り、国家の「統合」政策だけでなく、彼らがどのように地域社会と関わっているのかを考えます。移民本人や活動家の視点を直接聞くことで、学術研究と現場の経験を結びつけ、現実に即した東アジア地域のダイナミクスを比較し、より広い視野で理解を深めることを目指します。
本シンポジウムでは、中東・イスラーム地域を研究対象とし、専門分野を異にする研究者らが、フィールドワークおよび資料調査で得られた知見を活かし、日本の大衆演劇、宝塚歌劇における中東・イスラームの表象の諸相とその社会への影響を、日本的オリエンタリズムの観点から検討する。この検討を通じて、宝塚歌劇団が、中東世界の表象において、西洋から投射されたオリエンタリズムの見方を踏襲しながらも、東洋である日本の視点をも反映させていた点を明らかにする。そうして、「日本的オリエンタリズム」と呼びうるものの一例を提示する中で、日本の文化表象研究に一石を投じることを目的とする。
本企画では、稀代の神秘思想家イブン・アラビーを軸として設定し、彼の思想の新しい展開を提示しつつ、後代のイスラーム圏において彼の思想がどのように読まれ解釈されてきたのかを取り上げることで、イブン・アラビー思想伝統を明らかにする。
20世紀初頭の西欧諸国による植民地化を機に、東アフリカには多数のインド系の人々が移住し、アフリカにおけるインド系の共同体を形成することになる。その後の1972年のウガンダからのインド系移民強制追放に顕在化されるように、インドとアフリカは複雑に絡み合った歴史を抱えてきたのだが、それにもかかわらずインド研究者はアフリカに、アフリカ研究者はインドに十分な目を向けてきたとはいえない。本ワークショップでは、旧大英帝国の植民地主義下の歴史・記憶によってつながれたインド・アフリカ・英国において、インド系ディアスポラがどのように在地の「インド人」・アフリカ人・英国人などさまざまなアクターと交渉しながら独自の<社会的なもの>──フォーマルな社会福祉の制度/インフォーマルな人と人とのつながり──を形作ってきたのか、ケアの文化に焦点を当てて学際的視座から明らかにすることをめざす。
本シンポジウムは、農業・農村の問題の科学的解決を目指す研究と、これらを取り巻く社会動態の解明を目指す研究を融合的に取り扱いながら、肥沃な三日月地帯とその周辺域に迫るものである。両分野において得られる時系列データについて、モデル化や解析などの数学的手法と、フィールドワークを含む社会科学的手法を提示し合いながら、地域の多様で複雑な社会・環境システム(socio-environmental system)について意見交換を行うことを目的とする。個別の科学的事象の解明とともに、社会政治的背景のより正確な理解とを同時に行うことで、有用な提言が可能となると考える。本シンポジウムが新たに提示するのは、同地域の脆弱性に取り組むための知見や方法を共有し、脆弱性の限界を克服するための、ロバスト性という概念である。ロバスト性とは、社会や環境における不安定な平衡点やレジーム・シフトを許容しながら、摂動を巧みに制御することでリスク回避へと導く。多様な集団を抱える肥沃な三日月地帯においてはロバスト性の実現こそが、目指すべき目標となるのではないだろうか。シンポジウムの参加者は、肥沃な三日月地帯の多様な社会・環境に関する複雑なシステムを可視化するための異なる方法論、統計分析、化学分析、数学モデリングなどを検討していく。
本研究会の目的は、法律、経済、芸術、宗教といった領域から、現地調査をもとに「不確実性」という概念と対話し、日々変化する確実性なき現代社会に新しい解釈を提供することです。 不確実性(uncertainty)という語は、近年になって異なる学問分野において様々な意味合いで使用されており、本研究会ではA・アパドゥライの『不確実性の人類学』(2020、原著は2016)に着目します。
本ラウンジでは、四つの分野(霊長類学、言語学、歴史学、人類学)の研究者が自分のフィールドワークについて紹介後に談議し、相互理解をすすめ、異分野協働の足掛かりをつくることを目的としています。
多民族・多宗教・多文化が混在する南アジアでは、さまざまな音楽文化が人々によって奏でられ、歌い継がれてきた。そのような音楽文化は、ある時は共同体をつなぐ絆となり、ある時は権力に対しての抵抗運動となり、そしてある時は言葉にできない心情の表現となった。本ワークショップでは、南アジアにおいて発展してきたポピュラー音楽の諸相について議論を深める。 インドでは長らく映画音楽産業の中でポピュラー音楽シーンが形成された。しかし、近年のインディーズ・レーベルの勃興は、これまでのポピュラー音楽シーンとは違う新たな潮流を生み出している。さらにその流れは海を超えて、南アジア系移民の音楽ともつながり、ハイブリッドな音楽文化が形成されている。 一方、インド各地域のポピュラー音楽も、それぞれの歴史と文化に根差し、他地域の音楽に影響しあいながら、たくましく息づいている。そして周辺国に目を向ければパキスタンやバングラデッシュには、詩歌の伝統を汲むポピュラー音楽の文化が豊かに発展している。このように地域や国境を越え、南アジアのポピュラー音楽シーンは新たな時代を迎えているといっても過言ではないだろう。 一方、南アジア音楽文化の将来については、楽観視できない現状もある。社会問題や権力関係性において、どのような方向に向かっていくのだろうか。西洋主流のポピュラー音楽産業に対して、本地域のポピュラー音楽文化はなにを提示していくことができるのか。 南アジアのポピュラー音楽文化の諸相について参加者で分かち合いたい。
ネパール北中部の要衝・ラスワを経由してヒマラヤを南北に貫くキロン-ラスワ道路は、古来よりカトマンズ盆地と西チベットのキロン地方を繋ぐ幹線道として、平時にはキャラバンや巡礼者が往来し、有事には軍用路として機能してきた。ネパールの歴代王朝の政治・経済を支えたこの道路は、時代の趨勢により20世紀には幹線的機能を大幅に低下させたものの、今世紀に入って中国主導の巨大経済圏構想・一帯一路の基幹インフラとして復活し、再び脚光を浴びることになった。本企画では、多分野にわたる学際的な見地から、ひとつの交易路の歴史的盛衰を多角的に検討することで、辺境地域の近代化に対する単純な開発礼賛や、その対極をなす伝統社会偏重論などの近視眼的な議論を退けつつ、近代国家による間地域的干渉関係の渦中にある国境地帯に新たな角度から光を当てる。
企業、国際機関、NGO・NPO関係者、環境活動に関わる助成機関、研究者といったアクターが考える「環境保全活動」について、どの様に携え、どの様な成果を想定し、どのようにして、そのゴールに向かって解決していこうと考えているかについて意見を出し合い討論する。