地域情報アーカイブ Area Information

フィールドワーカーから寄せられた地域別の現地情報です(2010-2015年頃)

コンゴ(キンシャサ)

1.外務省ホームページ 各国・地域情勢

コンゴ民主共和国: http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/congomin/index.html

2.旅行情報(空港、ホテル、換金/TC、治安など)

フライト

1. ヨーロッパ経由(エールフランス等):日本~パリ~キンシャサ
2. アジア・南アフリカ経由:日本~香港・クアラルンプール・シンガポールなど~ヨハネスブルグ~キンシャサ
3. 中東・東アフリカ経由:日本~ドバイ~ナイロビ~キンシャサ
4. 2012年にトルコ航空が就航、日本~イスタンブール~キンシャサ

 空港では、黄熱病予防接種証明とビザの提示が求められる。空港からの出発時にはGo-Pass(空港利用税)が必要(国内線10ドル、国際線50ドル)。空港にかぎらないが、マタビシ(心づけ/賄賂)のやりとりがある種の慣習なので、適宜交渉する。空港から市内中心部までは、渋滞が激しく、道路が荒れている箇所も多いので、車で30分~1時間かかる(タクシー代50~60ドル程度)。

通貨・換金

 通貨は、コンゴフラン(FC: Franc Congolais、1ドル=900-940FC、変動が激しい)
 キンシャサなどの都市ではドルが利用できる。ただし、1ドル紙幣は拒否されることがある。FCで換金や買い物する場合、500FC札(≒50円)までしかなかったため、札束のかたまりがやりとりされていたが、2012年から1000、5000、10000FC札が発行されている。
 市内の至るところに両替屋がある。

ホテル

・Guest House:N’Dolo地区、値段が安く、日本人研究者がよく利用する。2番目に安い部屋が1泊45ドル(お湯シャワー・クーラー付)。安全面でも大きな問題はない。
・Residence Marika :Gombe地区、1泊70ドル程度
・Chez Belle Vie:Gombe地区、1泊100ドル程度
・Hotel Memling、Grand Hotelなどの高級ホテル(1泊150ドル~)

治安

 キンシャサでは一時期の混乱は収まっているが、治安は決して良いとはいえない。とくに夜間の外出は避けるべき。選挙などのイベントにはつねに注意し、政治情勢に関する情報の収集に心がけること。

3.医療情報

 入国に際して黄熱病の予防接種が義務づけられている。肝炎、破傷風、狂犬病、髄膜炎などの予防接種もしておくことが望ましい。マラリア蔓延地域のため、マラリアの予防/治療薬は不可欠のほか、蚊に対する防除対策も万全を期すべき。薬局は市内にたくさんあるが、抗生物質、解熱鎮痛剤、胃腸薬などは常備しておいた方がよい。病院は、Kinshasa General Hospital(公立)、Centre Medical de Kinshasa(私立)などいくつかあるが、もしも利用することになった場合は、設備や医療水準についてきちんと情報収集をすること。

 新たにL’ hopital du cinquatenaireの建設工事が進んでおり、開院が予定されているが、いつになるか2013年2月時点では不明。

4.通信環境

 キンシャサ市内の中級以上のホテルでは、無線LANが利用可能。携帯電話は広く普及しており、地方都市でも使えるところが多い。キャリアは、vodacom、airtel、Tigo、CCT(Congo China Telecom)。端末、SIMカードはいたるところで販売されており、プリペイド式で利用する。

5.ビザ、調査許可

 入国にはビザが必要。日本で事前に短期ビザ(3ヶ月まで)を取得しておくこと。観光ビザの取得に必要な書類は以下。

・パスポート原本(帰国時まで有効なもの、見開き2ページ以上の空白が必要)
・黄熱病のイエローカード オリジナル+コピー3枚
・申請書用紙3枚
・写真3枚(縦4.5横3.5cm、裏にサイン)、申請時6ヵ月以内撮影したもの・カラー
・英文日程表(*業務ビザを取る場合は会社推薦状)
・黄熱病予防接種証明書(3ヶ月以上有効期間が残っているもの)
・往復航空券予約証明書
・申請料(1ヶ月シングルで11000円、2ヶ月シングルで19000円)
長期滞在の場合は、現地でレジデンス・ビザが取得できる。経費は合わせて600ドル程度。ほかにVisa de sortie et retour(7ヶ月間有効)を取得する必要がある。 

調査許可

 生態森林研究センター(CREF: Centre de Recherches en Ecologie et en Foresterie) との協定にもとづいて調査許可を取得する場合は、 事前にCREFを通じて、調査予定をMinistere de la recherch scientifique et technologiqueに連絡し、キンシャサのDirection de la coordination de la rechercheから調査許可を得る。(記入フォーム25ドル、調査許可料30~90ドル、ほかに手数料等が数ドル)。調査終了後に調査報告の義務がある。フランス語が望ましい。

6.カウンターパート、来日経験のある研究者

 自然科学研究センター(CRSN: Centre de Recherche en Sciences Naturelles)、人文科学研究センター(CRESH: Centre de Recherches en Sciences Humaines)、保健科学研究センター(IRSS: Institut de Recherches en Sciences de la Sant)の3部局が京都大学と包括協定。

 生態森林研究センター(CREF: Centre de Recherches en Ecologie et Foresterie)と京都大学霊長類研究所が2010年に研究協定を結び、CREFを拠点とした複数の研究プロジェクトが実施されている。

 CREF関係者やゴリラ保全NGO関係者らが多数来日しており、Kanyuni Basabose博士とMbangi Mulavwa博士(生態森林研究センター)が、京都大学で学位を取得している。

7.大学図書館、アーカイブス、本屋

 図書館や書店で十分な研究資料が得られるとはいいがたい。大学の研究施設もあまり整備されていない。資料収集は、ベルギー、フランスなどでおこなう方がいい。

8.機材・資料の持ち出し、持ち込み

 EMS、DHLなどを利用。取材用のカメラや衛星電話を持ち込むには、別に情報省の許可書が必要な場合がある。

9.調査グッズの現地調達

 キンシャサの大型スーパーで一般的な日用品や調査用具は手に入る。電子機器、特殊な調査器具などは日本から持参した方がよい。

10.日本人研究者情報/これまでの調査、科研

自然環境、歴史、政治、経済、宗教、文化など各分野で活躍する研究者など

 国名がザイールであった1970~80年代には、人類学者・霊長類学者を中心に、多くの日本人研究者が調査をおこなっている。おもな研究者と対象は以下の通りである。1991年以降は政情悪化により調査が困難になった。

 原子令三、丹野正、市川光雄、寺嶋秀明、澤田昌人らがイトゥリの森で狩猟採集民の調査、米山俊直、赤坂賢、梶茂樹、末原達郎、杉村和彦らが東部で農耕民の調査、加納隆至、黒田末寿、北村光二、安里龍、古市剛史、伊谷原一、榎本知郎、五百部裕、岡安直比、橋本千絵らが赤道州でボノボの調査、武田淳、佐藤弘明、木村大治らが赤道州で農耕民の調査、安渓遊地らが東部で漁民の調査、浜口博之らが東部で火山の調査、廣瀬昌平らが東部で農学的調査、山極寿一が東部でヒガシゴリラの調査、湯川恭敏がキンシャサでテケ語の調査

 2000年代に入って赤道州の状況が落ち着くと、古市剛史らのグループが調査を再開し、霊長類学や生態人類学などを専門とする多くの研究者・大学院生が関わっている。一方、東部の情勢は依然として不安定で、調査が再開されるきざしはない。現在進行中の主なプロジェクトは以下である。なお、政治学・国際関係論などの分野では、武内進一や米川正子らが、東部地域について紛争や平和構築に関する研究をおこなっている。

研究拠点形成事業(アジア・アフリカ学術基盤形成型)「チンパンジー属類人猿の孤立個体群の保全に関する研究」
(2012~14年度)代表:古市剛史
科研(基盤A)「ヒト科における攻撃性と抑制のメカニズムの進化:Pan属の集団間・集団内交渉の分析」
(2010~2014年度)代表者:古市剛史(京都大学)
科研(基盤A)「アフリカ熱帯林におけるタンパク質獲得の現状と将来」
(2010~2014年度)代表:木村大治(京都大学)
科研(基盤A)「アフリカ類人猿のコミュニティの構造と進化」
(2012~2016年度)代表:山極寿一(京都大学)
科研(若手B)「利他・協力行動の進化にかんする、野外観察と実験によるボノボ・チンパンジー比較研究」
(2012~2014年度)代表:山本真也(京都大学)
科研(研究活動スタート支援)「アフリカ熱帯林における持続的な開発と保全のための実践的地域研究」
(2012~2013年度)代表:松浦直毅(静岡県立大学)

11.そのほか、各地域情報など

(2013年2月現在 松浦直毅)

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