フィールドワーカーから寄せられた地域別の現地情報です(2010-2015年頃)
トルコ
1.外務省ホームページ 各国・地域情勢
トルコ共和国: http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/turkey/index.html
2.旅行情報(空港、ホテル、換金/TC、治安など)
現地へのアクセス
- トルコ航空
ANAと同じスターアライアンスに加盟するトルコ航空が、東京(成田空港)および大阪(関西空港)とイスタンブルとをそれぞれ直航で結んでいる。所要時間は、往復で異なるものの、12時間前後である。2013年2月現在、トルコ航空の運航スケジュールは、以下の通りである。最新情報については、トルコ航空のHPも参照のこと。http://www.turkishairlines.com/ja-jp/
成田 TK51便(12:55発)→イスタンブル(同日18:10)毎日運行
イスタンブル TK50便(17:10)→成田(翌日11:30)毎日運行
関空 TK47便(23:20)→イスタンブル(翌日5:45)月・火・木・金・土
イスタンブル TK46便(0:50)→関空(同日18:45)月・火・木・金・土
成田発着便はB777 -300ER、関空発着便ではAirbus330/340が用いられている。成田便ではファーストクラスが設置されていないかわりに、エコノミー・クラスとビジネス・クラスとの間に「コンフォート・クラス」と名付けられた、いわゆるプレミアム・エコノミー・クラスが設けられている。コンフォート・クラスでは、食事や飲み物はエコノミーとほぼ同じながら、座席間隔がエコノミー・クラスに比べるとかなり広めに確保されており、その名の通り快適な空の旅を楽しむことができる。
トルコ航空で使用されている機材は比較的新しいものが多く、長距離路線では、一部の機内でインターネットを使用することも可能である。 - その他の航空会社
イスタンブルへは、大韓航空(ソウル・仁川経由)やアシアナ航空(同上)をはじめ、エミレーツ航空(ドバイ経由)、エティハド航空(アブダビ経由)、シンガポール航空(シンガポール経由)、マレーシア航空(クアラルンプール経由)などの多くのアジア系航空会社が就航している。
また、ヨーロッパ系航空会社は、たとえばルフトハンザ航空のようにイスタンブルと複数の都市(ベルリン、フランクフルト、ミュンヘン)を結んでいる場合が多い。また、ルフトハンザ航空は、フランクフルトとミュンヘンからアンカラのエセンボア国際空港にも便がある。
アジア系航空会社では、カタール航空(ドーハ経由)が、イスタンブルとアンカラに就航している。
空港
- アタテュルク国際空港
イスタンブルの空の玄関口は、アタテュルク国際空港である。2001年に大規模な増設工事が完了して国際線ターミナルが新築され、旧空港施設は引き続き国内線ターミナルとして使用されている。
アタテュルク国際空港は、イスタンブルの中心部から西に約25kmの地点にある。タクシーでは、交通渋滞がなければ市内中心部まで30分程度である。空港と市内中心部のタクスィムを結ぶリムジンバスも運行されており、こちらの所要時間は交通渋滞がなければ約45分である。途中、アジア側のカドゥキョイ行きの水上バス・ターミナルがあるバクルキョイと、トラムヴァイ(路面電車)の駅に近いアクサライで降車することも可能。
また、アタテュルク国際空港には、メトロ(地下鉄)も乗り入れており、トルコ各地への陸上移動の拠点であるオトガル(バスターミナル)を経由して、終点であるアクサライまで一律料金で移動することができる。地下鉄アクサライからは、地下通路や歩道橋を歩いてトラムヴァイのユスフ・パシャ駅に乗り換えることができるが、スーツケースなどの重い荷物がある場合は、もっと手前のゼイティンブルヌ駅でメトロからトラムヴァイに乗り換えておく方が楽である。ちなみに、ややこしいことであるが、トラムヴァイのアクサライ駅は、地下鉄アクサライ駅の最寄り駅ではない。最寄り駅は、前述のユスフ・パシャ駅であるので、乗り換えの際には注意が必要である。 - サビハ・ギョクチェン国際空港
アタテュルクの養女であり、トルコ初の女性パイロット(戦闘機乗りとしては世界初)であったサビハ・ギョクチェンの名がつけられたイスタンブル第二の国際空港。イスタンブルのアジア側に位置し、アジア側の中心であるカドゥキョイまで約40km、ヨーロッパ側にあるタクスィムまでは約50kmの距離にある。
日本からの直行便はないが、ヨーロッパ各地からの、とりわけイージージェット(イギリス)やジャーマンウィングス(ドイツ)に代表されるLCCが数多く発着している。また、トルコ版LCCとも言うべきペガスス航空も、この空港を拠点としてトルコ各地に国内線を数多く飛ばしている。
市内へのアクセスとしては、市内各所にイスタンブル市営バスと空港リムジンバスが運行されている。市内へのアクセス経路については、以下の空港HPが詳しい。http://www.sabihagokcen.aero/flashes/UlasimHaritasiTR.swf
ホテル
イスタンブルには、国際的なホテルチェーンであるリッツ・カールトンやフォーシーズンズ・ホテルを初め、ヒルトン、シェラトン、ハイアットなど高級ホテルが林立している。料金は、日本とほとんど同程度である。また、ボスポラス海峡沿いには、オスマン帝国時代のチュラーン宮殿を改装した、チュラーン・パレス・ケンピンスキーがある。
トルコ資本の高級ホテルとしては、マルマラホテル(タクスィム広場、他)とコチ財閥が経営する改装されたばかりのディヴァン・ホテル(タクスィム北側とカドゥキョイ)などがある。外資系に比べるとややリーズナブルではあるが、高級ホテルであることに変わりはなく、決して安くはない。
中級ホテルは、タクスィム広場周辺や、その北側のターリムハーネ地区に集中している。また、観光地であるスルタンアフメット地区には、高級ホテルから安宿まで様々なホテルやペンションが多数存在するが、付近の絨毯屋やトラベルエージェンシーから現れる客引きが鬱陶しいという人にはおすすめできない。比較的安い宿は、ギュルハネ駅周辺やアジア側のカドキョイ地区にも多い。いずれにしても、Booking.comやExpediaなどで検索すると、最新の料金やキャンペーン情報が手に入る。
長期滞在者には、フラットを借りるという選択肢もある。1週間や1ヶ月単位でアパルトマンの家やその一室を貸し出していることが多い。これらについても、インターネットで検索、予約することが可能である。たとえば、以下のアドレスを参照。http://turkey.gabinohome.com/en/rent+flat/istanbul
アンカラやイズミルなどの大都市を除けば、地方都市でのホテルの選択肢はかなり限定される。また、地域や季節によっては、暖房が効かない、お湯が出ないという可能性もあるので、チェックインに際しては、自らの目で部屋を確認してから宿泊するのが望ましい。
換金
トラベラーズ・チェックは、使い勝手が非常に悪い。ホテルやショッピングセンター、大手スーパーマーケットなどでは、一般にクレジットカードの使用が可能であり、また便利でもある。ただし、個人経営のペンションやバッカルと呼ばれる街の雑貨屋、一部の土産物店などではクレジットカードは使用できないので、多少ともトルコリラの現金を用意する必要がある。また、タクシー料金の支払いにも現金が必要である。さらに、文書館や図書館での複写についても、金額が大きい場合に銀行振り込みが認められることもあるが、原則としては現金払いである。
トルコの通貨であるトルコリラ(TL)は、日本の空港にある一部両替店でも入手できるが、他の通貨の場合と同じく日本での換金レートはよくない。アタテュルク空港に到着した際に、両替するのが合理的である。空港到着後に、通関手続きを行い、荷物を受け取って、税関チェック(ほとんどないに等しい)の後で自動ドアを通過すると、到着ロビーに出る。到着ロビーに出た後に空港の建物内部を右側進むと、いくつかの銀行の窓口やATMが並んでいるので、そこで一定金額を日本円から直接トルコリラに両替するといい。
トルコでは、ドルやユーロからの両替も可能であるが、結果として日本円から二度両替することになるため損である。イスタンブルやアンカラだけの滞在であれば、わざわざドルやユーロを持参する必要はない。ただし地方都市では、円からの両替ができない可能性もあるのでドルやユーロも必要になる。
市内には銀行が多数あり、両替することもできるが、待ち時間がかかる上に手続きも面倒であることが多い。パスポートの提示を求められたり、手数料を取られることもあるため、お勧めできない。大きなホテルでも両替は可能だが、世界共通の常識として交換比率は、銀行よりも悪くなる。
トルコでは、ドヴィズdvizと呼ばれる両替屋で両替するのが一番手っ取り早く、たいていの場合はレートもよい。窓口で日本円を差し出せば、パスポートも必要なく、トルコリラを入手できる。ドヴィズは、商業地区など街の中心に集中して存在することが多い。多くの場合、換金レートは窓口付近にある電光掲示板に表示されてあるので分かりやすい。
ただし、すべてのドヴィズが同じレートで両替しているわけではない。イスタンブルの場合、カパルチャルシュ(グランドバザール)内部のドヴィズのレートが最もよいと言われているようであるが、両替のためだけにわざわざ出かけていくほどの差はないと思われる。ただし、スルタンアフメットなどの観光地にあるドヴィズは、もっぱら外国人観光客をターゲットにしているためかレートが非常に悪いことで有名である。
治安
治安は、一般的によいと思われる。ただし、夜明け前や深夜の一人歩きや、人気のないところで女性が単独行動するのは避けた方がよい。また、イスタンブルの観光地などでは、スリ、置き引きなどの軽犯罪が発生している。さらに、繁華街などでの呼び込みは、ボッタクリや詐欺の場合が多いので、ついて行かないこと。
内戦が続くシリアとの国境付近、およびPKK(クルド労働者党)によるテロや襲撃事件が断続的に発生しているトルコ南東部については、外務省から危険情報が発出されている。詳細については、外務省のHPを参照のこと。http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo.asp?id=052
3.医療情報
フローレンス・ナイチンゲール病院 http://www.groupflorence.com/ やドイツ病院 http://www.uhg.com.tr/page_detail.aspx?id=8&lang=tr をはじめとして、英語も通用し、設備も充実している高度な医療機関はイスタンブルにも存在する。ただし、日本と比べると、医療費は驚くほど高額である。
一方で、官営の病院は、たいてい大混雑しており、医療設備も日本に比べて貧弱な場合が多い。受付や会計はもとより、医者であっても英語が通じない可能性もある。そのため、短期間の滞在の場合は日本の海外旅行保険に、長期滞在の場合は現地の保険会社の健康保険や事故保険に加入することを強く勧める。
地方都市の場合、その県の大学病院が、地域で最大の医療機関である場合が多い。
4.通信環境
インターネット
インターネットは、ADSLが主流で、地方都市でもかなり普及している。マクドナルドやスターバックスでは、Wifiの利用が可能な他、街のいたるところで電波は飛んでいるようである。ただし、セキュリティの点に問題があることは言うまでもない。
ホテルの場合、中級ホテルでは一般的にインターネットが無料である反面、高級ホテルでは、一日あたりの定額使用料を請求されることが多い。
賃貸物件で長期滞在する場合は、現地のプロバイダーと契約することもできる。
携帯電話
短期滞在であれば、日本の携帯電話(比較的新しい機種に限る)を海外ローミングにして使用することも可能。ただし料金は割高であるため、長期間滞在してトルコ国内の通話が多い場合には、トルコでプリペイド式のSIMカードと現地の携帯電話を購入して使用する方が合理的である。TURKCELLが最大の携帯電話会社であり、直営ショップも多いため便利。
5.ビザ、調査許可
ビザ
日本人は、90日までのビザが免除されている。そのため、制限期間である90日トルコに滞在しては隣国のギリシアやブルガリアに一時的に出国し、それを繰り返すという違法すれすれの行為が多発していた。このような状況を受けて、トルコでは2012年2月よりビザの取り扱いが変更された。
新しい規定は、ビザなしでの滞在は「180日間のうち90日まで」となり、たとえば90日間トルコに観光ビザで滞在した者は、少なくとも(ビザなしでは)その後の90日間は入国できなくなったので注意が必要である。
調査許可、研究許可
歴史学など文献を扱う研究で、短期間の史料調査であれば、特に政府の許可を求める必要はなく、訪問したい文書館や図書館と直接コンタクトを取ることになる。
ただし、人類学や社会学などでフィールド調査を行う際には、原則として文化観光省に調査の許可を申請する必要があると聞く。詳細については、トルコ政府文化観光省に確認されたい。
なお90日を超えてトルコに長期間滞在し、調査、研究を行う場合には、入国から1ヶ月以内に現地の警察に赴いて滞在許可(イカーメト)を取得する必要がある。滞在許可についての規則は頻繁に変更されるので、現地に滞在している日本人に事情を尋ねるのがよいが、そういう知人がいない場合は、イスタンブルであればワタン通りの警察本部に直接赴くことになる。
6.カウンターパート、来日経験のある研究者
非常に多くの研究者が来日している。このため、ここで特定のカウンターパート、研究者を紹介することは難しい。
7.大学図書館、アーカイブス、本屋
各図書館、文書館におけるルールは頻繁に変わる。現在のところ、2010年8月に吉田達矢氏が行い、イスラーム地域研究東洋文庫拠点のHPに記載されている一覧が、もっとも概括的かつ最新の情報である。まずはこちらを参照されたい。http://www.tbias.jp/php/guide_detail.php?year=2010#01turkey
近年の重要な変化について一点だけ。オスマン朝で作成された文書が大量に保管されていた首相府オスマン文書館は近く閉鎖され、キャートハーネ地区に新たに建設された国立文書館に移転する。開館式典は、コンスタンティノポリスが陥落した5月29日に挙行される予定だという。
8.機材・資料の持ち出し、持ち込み
文書館や図書館で取得したコピー、マイクロフィルム、DVD-ROMなどについては特に問題はない。オスマン帝国時代の手書きの文書や写本は持ち出しが禁じられている。刊本などの印刷物に関しては、今のところ制限は設けられていない。
考古学的遺物や民俗学的な価値があると考えられる古い絨毯等(目安としては100年以上が経過しているもの)についても、持ち出しは禁じられている。過去には、道ばたで売られていたという石像を所持した旅行者が空港で逮捕されたり、子供が大量の石をリュックに入れていた旅行者一家が長期間拘留されたりする事件も起きている。
9.調査グッズの現地調達
ホッカイロなどの日本特有の商品を除けば、ほぼ何でも現地で手に入れることができる。パソコン周辺機器などは、イスタンブル各所やトルコの各地に支店を持つTEKNOSAやカルフールなどで購入可能。
10.日本人研究者情報/これまでの調査、科研
自然環境、歴史、政治、経済、宗教、文化など各分野で活躍する研究者など
非常に多くの研究者が様々な分野で活躍している。このため、ここで特定の研究者を紹介することは難しい。
11.そのほか、各地域情報など
(2013年2月現在 澤井一彰)