地域情報アーカイブ Area Information

フィールドワーカーから寄せられた地域別の現地情報です(2010-2015年頃)

オマーン

1.外務省ホームページ 各国・地域情勢

オマーン: http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/oman/index.html

2.旅行情報(空港、ホテル、換金/TC、治安など)

 日本からオマーンへの直行便はない。タイ航空(国内主要都市-バンコク-マスカット)、エミレーツ航空(関空-ドバイ-マスカット)、カタール航空(関空-ドーハ-マスカット)利用が一般的。トランジットがもっともスムーズなのはカタール航空(ただし曜日による)。なお、2010年春よりエミレーツ航空は成田-ドバイ直行便を、UAEのエティハド航空も成田-アブダビ直行便を就航する。

・治安は良好。女性の1人歩きも日中であれば問題ない。ただし、保守的なイスラーム国家なので、過度な肌の露出は避けた方がよい。とくにラマダーン月(断食中)は屋外での飲食・服装には要注意。

・オマーンには公的な交通手段がないため、移動は自動車。空港からはタクシーに乗るか、レンタカーもすぐに借りられる。車種にもよるが最安だと1日12-15リアルで借りられる。乗り合いタクシーもあるが、旅行者には不向き。タクシーだと空港から市内までは10リアル前後。
*2010年2月現在、1リアル=約250円

・日本ではオマーン・リアルへの両替は一般的ではない。オマーンに着いたら空港内で両替できるし、大手のショッピングセンターには両替商が入っている。マスカット市内であれば、クレジット・カードを利用できる店も多い。日本の銀行カードをもっていき、オマーンの銀行のATMから現金を引き落とすのがもっとも便利で簡単。

・他のイスラーム諸国と同様、オマーンの休日は金曜日。大型ショッピングセンターやレストランは夕方以降(16時~)の営業、その他小売店は休業のことが多い。

3.医療情報

 オマーンに行くにあたり、とくに必要な予防接種はない。夏は気温が日中50度近くまで上がるので水分摂取は心がけたい(ただし、ほとんどが車移動で屋外を歩くことはない)。むしろ、夏のあいだは建物内で冷房が効きすぎているので風邪に注意する。

・大手ショッピングセンターや町の至る所に薬屋があるので、入手には困らない。サルージュ(al-Sarooj)地区には24時間営業のマスカット・ファーマシー(Muscat Pharmacy)がある。病院は国立と私立があるが、前者は国民用の無料病院なので、旅行者は私立病院に行くことになる。マスカット市内には比較的医療設備の整った私立病院やクリニックがいくつかあるが、治療費は高い。

4.通信環境

 マスカット市内であれば、安宿以外のホテルではインターネット接続が可能。大型ショッピングモール内ほか、アル=フウェイル(al-Khuwair)、ルイ(Ruwi)、マトラ(Matrah)にもインターネットカフェがある。ただし速度としては日本のADSL程度。日本語環境は自分で設定が必要。

・携帯電話が普及しているが、空港やショッピングモールには公衆電話も設置されている。10リアル程度の安価な携帯電話機も売られており、プリペイド式の携帯電話サービスも充実している。GMS形式(SIMカードを使用)。

5.ビザ、調査許可

 入国にはビザが必要。オマーンの空港で1か月有効の入国ビザが簡単に取得できる。値段は6リアル。米ドルでも支払可。利用するフライトによっては長蛇の列になることもあるので、飛行機から降りたら早めに並ぶことを勧める。観光ビザは後日警察にて1か月の延長が可能。ただし、アラビア語ができないと申請がスムーズに行かない場合も。なお、在日オマーン大使館ではビザ申請への個別対応はしていない。

・オマーンには研究、調査のためのビザが存在しないため、長期滞在する研究者は現地の研究機関あるいは日本大使館経由で滞在ビザを取得(通常2年間有効)せねばならない。現在のところスルターン・カーブース大学のみ外国人研究者を受け入れているものの、体系的な制度が整っているとはいいがたい。一般的な手順としては、知人がいるなら大学に直接受け入れを打診し、いないのであれば在オマーン日本大使館に仲介を依頼する。許可が下りたら大学にビザのスポンサーになってもらうが、受け入れる研究者数は極めて限定されており、申請してビザ発行まで1年以上はかかるとみた方がよい。

<わたしの場合> 知人に頼んでスルターン・カーブース大学に受け入れを打診。1997年に初めてオマーンに滞在したときは、大学に何度も足を運んだ。進展は非常に遅く、最終的に2年間の受け入れが認められ、ビザ発行の決定がくだされたのはその2年後。大学初の海外留学生となった。その後、オマーン政府の奨学金でスルターン・カーブース大学が日本人留学生(学部・大学院)を受け入れたこともあるので、研究者としてのオマーン長期滞在も不可能ではないが、なんらかのコネがないと難しい(大川)。

6.カウンターパート、来日経験のある研究者

 オマーンには国立大学が1つ(スルターン・カーブース大学)、私立大学が数校(年々増加)ある。最大の研究機関はマスカット郊外にあるスルターン・カーブース大学。医学部所属の人類学者(anthropologist)はいるが、とくにフィールドワークをしているわけではない。社会学部にオマーン南部を調査する研究者がいる。

・スルターン・カーブース大学は早稲田大学と学術交流協定を結んでいる。

7.大学図書館、アーカイブス、本屋

国内最大の大学図書館は、スルターン・カーブース大学中央図書館(Sultan Qaboos University Main Library)
住所:P. O. Box 37, Al-Khudh 123
電話/FAX:(968) 24415502/(968) 24413413
 入館は自由。もともと事務棟近くにあった図書館を2009年に完成した文化センター(Cultural Center/ Markaz thaqafi)内に移動。5階建てで使い勝手はよいが、蔵書数は少ない。コピーはチャージ可能な専用のコピーカードを購入するが、1リアル紙幣しか使えないので事前に準備されたい(両替機はない)。
 文化センター内に入っているオマーン研究所(Oman Study Center)にはオマーン関係の書籍や博士論文、政府刊行物、統計などが一箇所に集められている。オマーン研究者にとってはこちらの方が利用価値はあるだろう。こちらも入所自由。
URL:http://www.squ.edu.om/mainlibrary/tabid/1337/Default.aspx

遺産文化省(Ministry of Heritage and Culture)
住所:P. O. Box 668, Muscat 113
電話:(968)24641300(代表)
URL:http://www.mnhc.gov.om/manuscript.html
 4300点の写本が所蔵されている(カタログあり)。敷地内の附設書店で遺産文化省出版の書籍(アラビア語がメイン)が購入可能。

・このほか、私立のシラーディー図書館(Maktabat al-Shiradi)、宗教ワクフ省内図書室等も利用価値はあるが、いずれも現地での紹介者が必要である。

・マスカット市内に本屋は多くない。空港近くにあるシティーセンター(City Center)内の書店が国内最大だが、学術書はそれほど多くない(おもに英語書籍)。市内に2店舗あるFamily Bookshopに若干の学術書が置いてある。

・毎年2月から3月にかけて10日間ほどマスカット国際ブックフェアが開催される。規模は小さいが、オマーンで書籍を買うには絶好の機会である。

8.機材・資料の持ち出し、持ち込み

 他の湾岸諸国同様、オマーンでは私書箱制を採用しているので、一般的に住所として表記されるのは私書箱の番号。日本から荷物を送る場合は、個人宅まで配達されるわけではなく、受け取り人が郵便局まで取りに行く。
 
 オマーンはSAL便を扱っていないので、郵便であればEMS、航空便、船便のいずれか(重量は20キロまで)。
 オマーンから日本に荷物を送る場合は、郵便か民間のカーゴの選択肢がある。

郵便
EMS: 8リアル/最初の0.5キロ、2.5リアル/0.5キロ追加ごとに
小包: 5.7リアル/最初の1キロ、2.4リアル/1キロ追加ごとに

カーゴ
カーゴの場合は最低45キロから。1キロあたり1.5リアル前後。

9.調査グッズの現地調達

 マスカット市内であれば、基本的にほとんど文具が入手可能。ノートパソコンやデジタルカメラ、ビデオカメラといった電子機器やアウトドアグッズなども、空港近くのシティーセンターで売られている。

10.日本人研究者情報/これまでの調査、科研

 人文・社会科学の分野でオマーンを研究する日本人は数少ない。現在進行形でオマーンに関わっている研究者には以下の2人がいる。

松尾昌樹(宇都宮大学)
専門は歴史学、地域研究。オマーンのみならず湾岸諸国の国民統合に関心をもち、オマーンの国史形成やイバード派に関する論考も複数あり。

大川真由子(日本学術振興会特別研究員)
専門は社会人類学。オマーンと東アフリカの歴史的関係や東アフリカからの帰還移民のエスニシティやネットワークに関する単著のほか、民主化やジェンダーに関する論考も複数あり。

 また、現在調査はおこなっていないが、80年代前半オマーンの専門調査員を務めたこともある福田安志(アジア経済研究所)が、オマーンの政治についての論考をいくつか出している。

 オマーンは地質学の分野ではオフィオライトの世界最大・最良の露出状況として有名で、日本人研究者も多い。

11.そのほか、各地域情報など

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