地域情報アーカイブ Area Information

フィールドワーカーから寄せられた地域別の現地情報です(2010-2015年頃)

ウズベキスタン

1.外務省ホームページ 各国・地域情勢

ウズベキスタン: http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/uzbekistan/index.html

2.旅行情報(空港、ホテル、換金/TC、治安など)

空港

 成田-関空-タシュケントのウズベキスタン航空の直行便がある。ただし、マイレージはウズベキスタン航空独自のマイレージシステム。
 ほかには、アシアナ・エアーで日本の主要都市-ソウル-タシュケントのルートも便利。アシアナ・エアーはマイレージシステムがスターアライアンスに参加しているため、マイレージを貯めるにはこのルートがよい。

 所要時間: ウズベキスタン航空 成田-関空(1時間)、関空-タシュケント(8.5時間)
       アシアナ航空    成田-ソウル(2時間)、ソウル-タシュケント(8時間)

ホテル

 首都も(観光で訪れるような)地方都市もホテルの数は多い。一例としてタシュケントのB&Bは朝食つきで25ドル(2009年夏)程度。ブハラ、サマルカンドのような観光地には民家を改造したペンションが多数ある。 

換金

 タシュケントをはじめ、主要都市では街中のどこでも両替所がある。日本よりも気軽に両替が行われている。
 バーザールや道ばたなどで外国人は闇両替も気軽に持ちかけられることがある。だが闇両替は違法行為であり、外貨没収や最低賃金の3-5倍以上の罰金を請求される。両替は銀行やホテル、両替所を使用すべき。ただし、こちらが公定ルートで両替していようと街中の販売店やホテルでは、ドル表示の商品を闇レート換算のスム(ウズベキスタン通貨単位)値段で提示してくる(2009年夏)。

 ウズベキスタンで両替しやすい通貨は米ドル。しかも米ドルは100ドル札の新札が良い。少額紙幣は両替してもらえない場合やレートを下げられる場合もある。2009年10月の公定レートは1ドル1500スム程度である。

 タシュケントのインターコンチネンタルホテルなど大きなホテルでは日本円も両替してくれるので手数料を考えると得の場合もある。TCも首都の大きなホテルのみ取り扱っている。レートはあまりよくない。
 時折、午後に現地通貨が銀行やホテルで一斉に切れてしまう場合がある。両替は朝すぐにするのが良い。

治安

 タシュケントは比較的治安の良い町として知られ、一般に犯罪に巻き込まれることは少ない。だが、近年の経済状態の悪化や貧富の差の拡大により犯罪が増加した。

 窃盗・強盗(身につけている貴金属類をひったくる、携帯電話や現金を奪う)
 詐欺(両替時に紙幣枚数をごまかす、持ち逃げ、偽検問)
 外国人を狙った誘拐、空き巣や大麻所持も報告されている。
 障害殺人 メディアで大々的に報道されないため、事件は生じているが気づかない場合が多い。日頃から近隣住民との情報ネットワークを築いておかないとわかりにくい。

※ 首都(特に地下鉄の駅など)の警官による検問を避けるためには、あまり汚い格好をしないほうがよい。タシュケントではカジュアルな服装はまだ少数。バックパックにスニーカーという服装はすぐに旅行者とみなされ、偽検問の対象にされやすい。都市で活動するときは豪華すぎず、パリッとした服装をしたほうが目立たない。

(今堀恵美)

3.医療情報

予防接種

 A型・B型肝炎、狂犬病、赤痢の予防接種は受けていくこと。病気に関しては外務省のホームページを参照。 

病院

 病院数は多い。しかも治療費はさほど高くない(2004年段階)。ただし提供する医療の質は日本のレベルではない。簡単な治療や風邪程度なら医者に診断書を書いてもらい薬局で薬を安価に購入できる。それゆえ、高額な医療保険などに加入する必要はないかもしれない。

 現地の薬は錠剤よりも注射が一般的であり、自分で注射器を購入して医者に処置して貰う場合もある。
 現地の人々と同じ医療レベルでは満足出来ない場合、手術を伴う大きな病気の場合、タシュケントにある外資系のインターナショナル・メディカル・クリニックに行けば良い(値段は非常に高い)。この場合は自分で保険に加入していく必要がある。

 大使館にも医務官がおり、相談するのも手である。

 地方でも病院や医療施設はある。だが、薬や技術が首都以上に不足しているため、地方に調査に行く場合は必ず常備薬を持参すること。 
 ドラッグストアの数は多い。首都や大都市には24時間営業のドラッグストアもあって便利である。ただし、ロシア語・ウズベク語で書かれた説明書か店員の説明を理解できるだけの語学力が必要。

衛生

 夏の高温のために意外と体力が消耗しているのに気づかずに活動を続け、下痢や腹痛を起こす場合が多い。夏場はとにかく直射日光に当たらないように気をつけ、無理せず良く睡眠を取ることである(もっとも現地の人々に昼寝の習慣はない)。身体が慣れないうちは日中に無理して屋外の作業せずに、午前中か夕方に回す方が良い。夜は十分な睡眠を取るべきである。

 どうしても屋外で作業する場合、帽子や日傘を使用すべき。タシュケントで日傘を差している女性は少ないが地方にはいる。日傘に関しては良いものが少ないので女性は必ず日傘を準備していくこと。とにかく直射日光に長時間あたり過ぎない。これだけで随分と日中歩行の体力消耗は避けられる。

 低予算で車をチャーターする場合、クーラーのついていない車にあたる場合もある。クーラーのついていない車にはカー・サンシェードを持参することをお勧めする。

 タシュケント都市生活上の水・・・水道水が飲用可。ただし煮沸消毒したほうが良い。

 街中でミネラルウォーターが簡単に購入できるので、ミネラルウォーターを利用しても良い。一般には炭酸入(ガズランギャンスヴ)のミネラルウォーターが多いが、炭酸なし(ガズランマギャンスヴ)も購入可。ネスレなどを購入すると安心だが、別段他の地元ブランドに問題があるわけではない。

 タシュケントの一般的なアパートでは、お湯と水の両方が使用可。ただしお湯は保温用の塩分が含まれるため、料理などは水を湧かした方がよい。
 タシュケントのアパートではアパート建物全体に暖房が入るアタプレーニエというセントラル・ヒーティング・システムが取られている。それゆえ、暖房の切り替えが行われる季節の節目毎に水やお湯が一日程度断水される。2009年9月時点でもタシュケント市を何カ所かに区切って交替で一日中お湯が断水されるということが起きていた。

 タシュケントの水道水は飲用に問題ないが、地方都市では飲用で感じる程に塩分濃度の高い地域があるので注意。最も水の塩分濃度が高いのはブハラ州である。ブハラ州では元々土壌の塩分濃度が高く、井戸の地下水を飲用するとしょっぱさを感じる。ブハラ州の郊外に出る場合にはミネラルウォーターを購入していくか、現地で給水車が販売する水を貯水用バケツで購入すると良い。ちなみに灌漑用水は地表水(河川など)を引くため塩分濃度はさほどではない。農業に深刻な影響が出るほどではないが、毎年2月に塩抜きとして耕地に水を張っておく習慣がある。

食事

 客をもてなすウズベクの民族料理はオーシュ(にんじん入りピラフ)。街中のレストランでも気軽に食べられるが、油の使用量が多い。一般家庭で出されるオーシュは油分が少なく、トピックとしてカリンやにんにく、ヒヨコマメなどを入れる場合もある。緑の大根(トロブ)のサラダやトマトのソースと一緒に食べるとさっぱり食べられる。
 主食はナーンと呼ばれる小麦粉を練って丸く平べったくして焼いたパン。地域によって形態や味に違いがあるが、サマルカンド、フェルガナ盆地やホラズム地方のものが有名。
 その他、肉じゃがのような煮込みもの(ドゥムラマ)、肉と野菜がたっぷり入ったうどん(ラグマン)、水餃子(チュチュワラ)、羊や牛の串焼き(シャシュリク)などにロシア風の料理(ボルシチやビーフストロガノフ、キエフ風カツレツ、オリビエサラダ(ポテトサラダ)など)なども大衆食堂で食べられる。

食材

 首都の市場では朝鮮系移民が経営する食材屋がある。すべて日本とまったく同じものではないが豆腐なども売られている。中国産のしょうゆ、味の素、乾燥しいたけ、乾麺、春雨、白菜、もやしなども安価に売られている。また現地風のキムチや惣菜を扱う店もあり、忙しい時に利用するとよい。 

食事のマナー

 地方ではダスタルハーンと呼ばれる食布を床に敷いてその周りにコルパチャと呼ばれる長い座布団を引き、大人数で食事を取る場合が多い。
 食事のマナーとして、①パン(ナーン)を裏返しておかない。②丸いナーンを一人で独占してはいけない。必ず一口大にちぎって周囲の人たちに配って共有すること(ホストがする場合が多い)。③ダスタルハーン(食布)の上に足をのせない(座り方はあぐら可(男性))。などがある。

(今堀恵美)

4.通信環境

インターネット

 街中の至る所にインターネットカフェがあり、時間単位でネットを使用することが出来る。ただし、日本語表示ができても打ち込みができないもの、それらが出来てもプリンターが日本語に対応していないなど場所によっては使いづらい場合もある。

 日本からPCを持ち込む場合、キオスクや売店などで簡単に手に入るインターネット用のプリペイドカード(Sarkor, BCC, Buzton, Sharq Telekomなど)を購入すると良い。各社のHPにアクセスして設定すればどこからでも電話回線を通じてネット通信ができる。設定の仕方が分からない場合、インターネットカフェで購入して担当者に初期設定のみして貰っても良い。

 地方の村落部では、電話網が発達していない場合が多い。地方都市レベルなら大丈夫である。

 日本の携帯電話も通話やデータ送信可。NTTドコモの場合、3G対応機種ならばタシュケント市内の通話とデータ送信、3G+GSMなら主要地方都市でも通話とデータ送信が可能。(ただし2009年9月時点でドコモは原因不明で作動せず、ソフトバンクは通信可能であった。)

 高い通信費を考えると、長期滞在の場合、現地で携帯電話を購入する方が良いかもしれない。ペイネットと書かれた看板のある店(地方都市でも必ずある)でSIMカードを購入し、登録すれば各会社(MTS, Bilayn, Usell, Pervektum)で決められた料金プランで使用できる。

 有名ホテルや都市部のB&Bでは、無線LANを設置する施設が急速に増加。PCを持ち込みLANのパスワードをフロントで教われば、宿泊者以外でもロビーで無線LAN通信ができる。

電圧

 電圧は220Vで周波数は50Hz.プラグはふたつの丸いピンがついたヨーロッパCタイプ。日本の電化製品にはアダプターと変圧器を準備していく。
 首都タシュケントで家電を購入する場合、ナヴォーイー通りに電気街が集まっているので大抵の物は購入できる。

(今堀恵美)

5.ビザ、調査許可

<ビザ>
 観光ビザは通常30日まで申請可能。
 2009年6月からビザ申請方法が変更。 http://evisa.mfa.uz/
 上記サイトでダウンロードした用紙に英語で記入し、パスポート、写真とともに大使館に直接持っていくと申請でき、一週間ほどで取得できる。
 調査ビザの場合、受け入れ機関(研究所や大学など)にビザ発行手続きを依頼する必要がある。観光ビザで入国し、そこから所属機関を変更するには基本的に一度出国する必要がある(2002年段階)。
<調査許可>
 ウズベキスタンには住所登録制度(レギストラーツィア)があり、長期調査をする場合、地方行政機関に自分の滞在先の住所を届け出て、パスポートに登録する必要がある。

6.カウンターパート、来日経験のある研究者

日本で活躍するウズベキスタン出身の研究者

 ティムール・ダダバエフ(筑波大学准教授)
 ムニサ・パブロノヴァ(東京大学)

来日経験のある文系研究者

 S.カリーモワ(ウズベキスタン共和国科学アカデミー東洋学研究所副所長)
 B. ババジャノフ(ウズベキスタン科学アカデミー東洋学研究所上級研究員)
 N. トショフ(ウズベキスタン共和国科学アカデミー東洋学研究所下級研究員)
 S. グラーモフ(ウズベキスタン共和国科学アカデミー東洋学研究所下級研究員)
 N.アブドゥラハトフ(ウズベキスタン・フェルガナ州立博物館学芸員)
 A.アシーロフ(ウズベキスタン共和国科学アカデミー歴史学研究所副所長)など多数。

研究者受け入れ学術機関

歴史学 ウズベキスタン共和国科学アカデミー東洋学研究所
人類学 ウズベキスタン共和国科学アカデミー歴史学研究所など

7.大学図書館、アーカイブス、本屋

8.機材・資料の持ち出し、持ち込み

 50年以上前の文献や資料の持ち出しは禁止されている。文献のコピーは可。

 美術品(特にスザナ)の持ち出しはアンティークではないという証明書が必要。持ち出しを希望する美術品の写真を持っていけば、証明書は博物館などで約10ドルほどで作成してくれる(2004年段階)。お土産などの小物は必要ない。

9.調査グッズの現地調達

贅沢を言わなければなんでも揃う。ただし輸入品なので日本で買うよりも割高でモデルが古い。

10.日本人研究者情報/これまでの調査、科研

※ 下記はウズベキスタンを主な対象としている研究者。 広域(旧ソ連圏、広域中央アジア、イスラーム圏、ユーラシア圏など)研究の 一環でウズベキスタンも研究する研究者は含めていない。

<考古学>
加藤九祚、芳賀満
<歴史学>
間野 英二、堀川 徹、濱田 正美、小松久男、帯谷 知可、木村 喜博、 岩井 俊平、塩谷昌史、磯貝健一、島田 志津夫、河原 弥生、木村 暁、木村 英亮、 塩谷哲史、田村行生
<言語学>
菅野裕臣、小川泰弘、井土愼二、古屋 薫、柳田 賢二
<地域研究>
須田将、淺村卓生
<文化人類学>
高橋磐根、菊田 悠、今堀恵美、和崎聖日、宗野ふもと
<政治学>
岩下 明裕
<経済学>
清水学、野村 政修、塚谷 恒雄、中村 靖、久保庭 真彰、樋渡 雅人
<教育学>
関啓子
<芸術学>
平山郁夫、高木 隆司
<法学>
樹神 成
<建築>
鳳 英里子
<衛生学>
千葉 百子
<化学系薬学>
本多 義昭
<地理学>
後藤 寛
<自然地理学>
後藤 秀昭
<生物学>
幸 進
<農業経済学>
弦間 正彦

11.そのほか、各地域情報など

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