地域情報アーカイブ Area Information

フィールドワーカーから寄せられた地域別の現地情報です(2010-2015年頃)

ナミビア

1.外務省ホームページ 各国・地域情勢

ナミビア: http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/namibia/index.html

2.旅行情報(空港、ホテル、換金/TC、治安など)

 治安は他のアフリカ諸国と比べるといいと言われている。しかしもちろん、夜間の外出や人目のつかないところをひとりで歩くのは危険をともなう。日本人もひったくりなどの被害にあっている。

アクセス

 ナミビアへ入国するのに最も一般的な経路は、ヨハネスブルク経由の空路である。他にケープタウンやドイツ経由等もあるが、運行本数が少なく割高。ヨハネスブルグからは、SAかAir Namibiaの便が出ており、2時間程度で到着する。空路以外では、長距離バス(intercape)を利用する方法などがある(ケープタウン-ウイントフック、リヴィングストン-ウイントフック等の路線)。

空港

 首都ウインドフック近郊のHosea Kutako国際空港に着。空港からウイントフック中心部までは約40分。乗合のタクシーを利用するのが安くて便利(だいたい150N$)

ホテル

 首都のホテルで快適に過ごせるシングルの場合、一泊300-500N$程度が相場。Hotel Pension Cela、Hotel Pension Uhlandなどを利用する研究者が多い。もっと安い宿も多く、例えばドミトリー形式の宿は100N$以下のところもある。Chameleon Backpackersなどが有名だが、最近は宿の近くで宿泊客目当ての強盗などが発生しているらしく、宿泊の際は注意が必要である。 

換金/TC

 首都では、米ドルもTCも日本円も換金可能。だが、首都以外ではTCは難しい場合が多い(可能なところもあるが時間かかる)。米ドルは基本的に街の銀行に行けば換金できる。また、国際キャッシュカードがあれば、ATMからお金を引き出せる。クレジットカードは、首都ではだいたいの店舗で使える。ただし設備はあっても使えない場合もあるので、カードだけに頼るのは良くない。 
 ナミビアドルは、南アフリカランドと等価に固定されており、1N$=1Land。ナミビア国内では南ア・ランドを自由に使用できる。1N$=10-18円程度。2010年1月現在は1N$=13円。食べ物などの物価は日本とほとんど変わらないと考えてよい。

交通手段

 首都の中はタクシーが走っている。ひとつの区域内であれば乗り合い方式で7.5N$。ただし、最近タクシーの運転手と他の乗客がグルになって金品を奪うタクシー強盗が頻発しているので注意が必要。また、首都から各地方へは、ミニバスのような乗り合いタクシーが出ている。他に、本数や行き先は限られるが列車も利用可能。

(手代木功基)

3.医療情報

病院

 首都のローマンカソリック病院などがメジャーか。他にも富裕層向けのPrivate Hospitalがいくつかあるので、病院に行く必要ができた場合はそのような病院を選ぶのが良い。なお、ナミビアでは各地域の主要な街には最低限の設備が整った病院等はあるので、緊急時にはその病院まで行く交通手段さえあれば、地方でも応急処置等の対処はある程度できる(もちろん日本とは比較するべくもないが)。海外旅行損害保険は必須。 

マラリア

 北部は汚染地域になっており、日本人でも感染した人がいる。中部に位置する首都ではほとんど感染しないと言われている。薬は薬局等で売っているが、マラロンなど最新のものは置いてない場合も考えられるので、南アなどで事前に購入して置いた方が無難。 

 なお、他の南部アフリカ諸国同様にHIV/AIDSの感染率が高い。

(手代木功基)

4.通信環境

 ウイントフックでは、インターネットカフェが多数存在する。なおホテルによっては、無線Lanが使えるところもある。地方都市にもほとんどネットカフェはある。

 携帯電話はかなり広範囲で使用できるので非常に便利。現地の人も持っている人が多いので、調査の際は必須?本体は200N$程度~で、SIMカードは20N$。プリペイド式。3社あるが、最王手のMTCが最もカバーエリアが広く、田舎でも使える。新興キャリアのCell Oneは都市部では通話料が少し安くなる。

(手代木功基)

5.ビザ、調査許可

 観光ビザは、空港についてから無料で取得可能。最大3か月の滞在許可がもらえるが、3ヶ月のつもりでも1ヶ月と書かれるので注意。調査で長期滞在をする場合は、就労ビザ(学生ビザ)が必要。代行会社(GKConsultant等)を通して申請する。申請は、渡航の2ヶ月前位から始めた方が良い。無犯罪証明書や、カウンターパートのレターなどが必要。

 調査許可は、関係機関(環境・観光省など)において取得する必要がある。

(手代木功基)

6.カウンターパート、来日経験のある研究者

 ゴバベブ・リサーチ&トレーニングセンターのヘンシェル氏(生態学)や、ナミビア大学のハケ氏(言語学)など。

(手代木功基)

7.大学図書館、アーカイブス、本屋

アーカイブス

 Government Park近くの、Robert Mugabe Ave.沿い。誰でも利用可能で、写真や資料等の検索、閲覧が可能。図書館が隣接している。

大学図書館

 首都南部にあるナミビア大学の図書館を利用可能。図書館の地下にはナミビア関連の書籍を集めた部屋がある。有料でコピー可。 

農業省の図書室

 Government Parkにある農業省の建物の地下にある。コピー可。 

ハーバリウム

 Windhoek High School近くにある。植物種の同定サービスがある。また、図書室も利用可能。近くには気象データを扱うMeteorological Serviceも。 

本屋

 Vernhill Parkの本屋Book Denと、街の中心部の南ア航空のオフィスの裏にあるドイツ人が経営する本屋が、ナミビアに関する本を多く扱っている。

(手代木功基)

8.機材・資料の持ち出し、持ち込み

郵送

 荷物の郵送は、ウイントフックのSourthern Industrialにある郵便局でのみ受け付けている。ふつうの郵便局では扱っていない。船便がいちばん安いが、日本につくのは早くて2ヶ月、遅いと半年はかかる。航空便の方が早くつくとは言われているが、あまり船便と変わらないとの説も…。一箱10kgまで。DHLは早いが高い。

(手代木功基)

9.調査グッズの現地調達

 ウイントフックでほとんど何でも調達可能。大きなショッピングモールが幾つかあり、そこに行けば大抵のものが手に入る。また、Gameなどの南ア資本の大きなホームセンターも何件もある。

 地方都市にも南ア資本の大型スーパーが進出しており、文房具等は手に入る。

(手代木功基)

10.日本人研究者情報/これまでの調査、科研

言語学
米田さん(阪大):ヘレロ語に関する研究
歴史学
永原さん(東京外大)、柴田さん(東京外大):南部アフリカ・ナミビアの歴史、特にヘレロや植民地主義に関する研究
農学
飯嶋さん(近畿大):北部のオシャナ地帯への稲作導入に関する科研プロジェクトを進めている
(自然)地理学
水野さん(京大)、沖津さん(千葉大)、山縣さん(上越教育大)、森島さん(日大)、木村さん(北大)、宮本さん(琵琶湖博):水野さんが研究代表者となって、科研のプロジェクトが進んでいる。自然地理学的観点から、ナミブ砂漠をはじめとした各地の自然環境に関する研究(参考図書:アフリカ自然学)。
人類学
高田さん(京大):サン(ブッシュマン)の社会的相互行為や環境認識等について
太田さん(京大)、吉村さん(歴博):ヒンバのエスニシティや土地意識に関する研究
若手・学生
宮内さん(南ア大使館・人類学・ヒンバ)、藤岡さん(京大・地域研究・オヴァンボ、植生)、山科さん(京大・地域研究・北部のシロアリ塚、ゼンバ)、鈴木さん(名大・農学・稲作)、香室さん(熊本大・人類学・ヘレロ)、手代木(京大・地域研究・植生、放牧、ダマラ)

 なお、ナミビアに関わる研究者で、ナミビア懇話会を組織しています(代表者:永原さん・水野さん)。より詳しい情報が必要な方や、ナミビアでの調査を考えている方は、手代木(teshirogi(at)jambo.africa.kyoto-u.ac.jp)までお気軽にご連絡ください。

(手代木功基)

11.そのほか、各地域情報など

自然環境
 ナミビアの海岸沿いには、世界で最も古いといわれるナミブ砂漠が広がっている。海岸から内陸(東部)に向かって、徐々に降水量は増えていく傾向があるが、基本的に全土で降水量は少ない乾燥国である。内陸は高地となっていて、砂漠との間には広大な崖地形であるグレートエスカープメントがみられる。また、北部にはアフリカ最大の塩湖であるエトーシャパンがある。その周辺は国立公園に指定されており、野生動物の絶好の観察ポイントとなっている。

歴史的背景
 ナミビアでは、先史時代のブッシュマンの壁画が各地で見られる。また植民地化以前はオヴァンボ王国の発達が北部でみられた。
 1884年にドイツが南西アフリカとして保護領化を宣言し、その後植民地となる。第一次世界大戦のドイツ敗戦にともない、国際連盟によって南西アフリカは南アフリカ連邦(1961年から南アフリカ共和国)の委任統治領とされた。第二次世界大戦後、国際連合によって南アの南西アフリカ支配は国際法上不法占領にあたるとみなされたが、南アはこれを無視して実効支配を続け、南ア本国と同様にアパルトヘイトを行った。
 ナミビア独立戦争は1966年に南西アフリカ人民機構(SWAPO)の武装蜂起によって始まり、ナミビアは1990年に独立を達成した。初代大統領にはSWAPOのサム・ヌジョマが就任した。なお、港湾都市であるウォルビスベイ一帯は1977年に南アが自国に併合していたため、1994年に返還されるまで南アが自国領として支配していた。 

政治
 ナミビアは共和制、大統領制をとる立憲国家である。複数政党制を導入しており、1990年の独立以来、南西アフリカ人民機構(SWAPO)が一貫して政権を担い続けている。09年に大統領選挙があり、ポハンバ大統領が2期目の当選を果たした。
 ナミビアは13の州(Region)からなっており、各州はさらにいくつかのDistrictに細分される。また、土地所有形態については国の南北で大きく様相が異なる。中・南部の大部分では白人が私的に土地を保有しており、大規模な畜産業が発達している。一方北部には黒人の共有地がひろがり、小規模な農業や牧畜が生業として営まれている。なお、西部の砂漠地帯は、国立公園に指定されている。

経済
 ダイヤモンド、ウラン、亜鉛などの鉱業が主。経済的には南アフリカへの依存度が高い。人口の少なさ、鉱物資源の豊富さ、整備されたインフラによって、アフリカの中では豊かな国である。畜産業を基盤とした、食肉加工産業等も重要な産業となっている。

宗教
 キリスト教が8割から9割を占める。

執筆者:手代木功基

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