地域情報アーカイブ Area Information

フィールドワーカーから寄せられた地域別の現地情報です(2010-2015年頃)

アンゴラ

1.外務省ホームページ 各国・地域情勢

アンゴラ共和国: http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/angola/index.html

 以下、執筆時(2013年4月)の最新情報を記すが、現地の実情は常に変化しているため、この情報を過信することなく自ら情報収集に努める必要がある。

2.旅行情報(空港、ホテル、換金/TC、治安など)

 日本からの直行便はない。東南アジアと南アフリカ、およびヨーロッパを経由する便もあるが、乗り継ぎ回数が少ないのはエミレーツ航空(ドバイ経由)である。

 アンゴラの通貨はクワンザ(AKZ)である。首都は特にそうであるが、地方都市でもホテルや飲食店などではUSドルが使える場所も多い。短期滞在の旅行者であれば多額を換金する必要はない。

 空港等には換金所が整備されているが、レートはやや悪い。換金でレートがよいのは、
Avanesssa Casa Cambiosなどがある。スーパーや路上でインフォーマルに換金すること
もできるが、これもレートが悪くなる。基本的にTCは使えない。クレジットカードは、安全のため利用を避けたほうが無難ではあるが、VISAの汎用性が高い。首都等でのATMでキャッシイングも可能である。

ホテル

 数が少ないが、最近は整備がすすんできている。しかし多くのサブ・サハラアフリカ諸国のなかでは高額(シングル一室150~200USドル/泊以上)である。事前に予約する際には、インターネットからの予約ができても、必ず直接電話で確認すること。 

治安

 首都ルアンダの場合、人口増加が急激に進行するとともに、犯罪率も高くなっている。夜は出歩かないほうがよく、昼間であっても、大使館が注意喚起する場所等を中心としてむやみに立ち入らないほうがよい。ILHAなどの観光客でにぎわう場所もひったくり・投石などの被害が報告されていることもあり、注意が必要である。 

タクシー等

 利用可能であるが、可能であれば渋滞を避ける方法を熟知している運転手を選ぶことをおすすめする。空港にはメーター付きタクシーもいるが、多くは事前交渉のタクシーである。ポルトガル語でのコミュニケーションとなる。首都や地方都市で乗り合いのバスもあるが、一人で乗ることは避ける。その他、バイクタクシーが多数配置されていて、地元の人の足となっているが、ヘルメットの着用がない場合が多く危険であるため避けたほうがよい。 

レンタカー

 AVISなどいくつかの会社があるが、アンゴラ外から確実に予約しておくことは困難である。現地で手配してもらえる人を頼るか、現地に到着してから手配することをお勧めする。価格は車種にもよるが、車両借り上げのみの最安値が80USドル/日ほどで、これにガソリン代(60USドル/リットルほど)や保険料、運転手等の賃金が上乗せされる。

3.医療情報

 言うまでもなく、細心の注意が必要である。入国時に黄熱病のイエローカード提示が必要である。また、医療施設は質・量ともに整備が進んでいない。必ず最新の衛生・医療事情を大使館や外務省HP等で確認すること。
http://www.angola.emb-japan.go.jp/index.htm
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/africa/angola.html

 マラリアの罹病率・致死率は非常に高い。国土のほとんどが熱帯熱マラリアの汚染地帯である。その他、HIV/AIDSの感染率も高く、コレラや狂犬病、下痢症なども罹りやすいため、適切な予防と対処が肝要である。例えば、マラリアの治療薬は現地の薬局でも入手できるが、品切れも頻繁にあるため、渡航前にあらかじめ入手しておくこと。

4.通信環境

 首都や地方都市でプリペイドカード式携帯電話やインターネットカフェの普及が進んでいる。ホテルにはWiFiやLAN接続によるインターネットの利用が可能である場所が多いが、不安定であるほか、停電が多い。携帯電話会社にはMovicelとUnitelの2つがあり、両者とも携帯電話の電波を活用したモバイルモデムによるインターネット接続が可能である。ただし、雨季を中心に接続速度は遅い。

5.ビザ、調査許可

 入国にはビザが必要である。2002年に内戦が終結し、2008年に一般ビザが発行されている。ビザ取得のためにはアンゴラ在住者もしくは在アンゴラ機関からの招聘レターが必要となる。現地調査を実施する場合は、在日アンゴラ大使館などを通じて文化省などしかるべき政府機関を紹介してもらい、招聘レターと現地調査時に携行する身分証明書を発行してもらうのがよい。
 
 また、調査許可書は存在しない。そのため、調査テーマに沿ったアンゴラの研究教育機関、行政機関各所から、適宜身元保証書や紹介状を発行してもらう。

6.カウンターパート、来日経験のある研究者

来日経験のある研究者

<アゴスティーニョ・ネト大学>
オルランド マヌエル J. フェルナンデス ダ マッタ 学長
ジョセ ペドロ ドミンゴシュ 副学長
アリセ F. P. セイタ イ アルメイダ 工学部長

7.大学図書館、アーカイブス、本屋

 首都ルアンダには国立図書館ほか、アゴスティーニョ・ネト大学およびカトリック大学付属の図書館、公文書館等が存在する。それぞれへのアクセスは管轄している省庁への許可申請が必要である。

 書店はBaixa地区のLello livrariaなどに国内の民族集団言語の辞書がおかれている。しかし他の書店はまだまだ未発達である。取り扱い書籍のほとんどはポルトガル語であり、政治経済に関する書籍もあるが、小説や各種学校の教科書が多い。輸入洋書を取り扱う書店は少数である。

8.機材・資料の持ち出し、持ち込み

 対象物や状況次第であるので、ビザ申請時の招聘状の発行元等と相談の上手続きを進める。

9.調査グッズの現地調達

 文具、テント、寝袋などは高額であるが調達可能である。

10.日本人研究者情報/これまでの調査、科研

青木一能(日本大学/国際関係論):アンゴラへの渡航歴多数。政治経済を中心とした研究。著書『アンゴラ内戦と国際政治の力学』(芦書房、2001年)
池谷和信(国立民族学博物館):アンゴラ北東部・南部を踏査しチョクエの親指ピアノ、サンに関する人類学的研究をすすめる。論文「アンゴラ北東部におけるチョクウェの親指ピアノの多様性と生活世界」『アフリカ研究』60:75-84. (2002年)
網中昭世(津田塾大学/国際関係学):植民地期以降のアンゴラとモザンビークに関する比較研究。論文「第一次世界大戦期のポルトガル領アフリカ植民地における労働移動―モザンビークおよびアンゴラからサン・トメへの移民を中心に―」『アフリカ研究』No.82,(2013年)
村尾るみこ(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所/地域研究・人類学):アンゴラ東部農村における生計活動について現地調査を実施し、現在、紛争後社会の国民統合と住民間の格差に関する研究を進める。著書『創造するアフリカ農民―紛争国周辺農村を生きる生計戦略(昭和堂、2012年)』
寺尾智史(神戸大学/外国語教育)
南部アフリカ・アンゴラ共和国における言語政策の動向(2014年4月1日~2017年3月31日(予定))
研究課題番号:26370727
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/26370727.ja.html

論文「南部アフリカ・アンゴラにおける多言語政策試行」(2009年、神戸大学大学院国際文化学研究科紀要『国際文化学』32:33-66.
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/81001673.pdf

11.そのほか、各地域情報など

 国土の多くが地雷汚染地帯であることを十分に留意し、社会福祉省やNGO等での情報収集をすること。また、国内のうち西部は外国人が多く流入しており、インフラや店、宿なども比較的整備がすすんでいる。しかし東部は内戦中反政府の軍事拠点となっていたこともあり、様々な点で未整備であることを十分理解しておく必要がある。

(2013年4月現在 村尾るみこ)

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