地域情報アーカイブ Area Information

フィールドワーカーから寄せられた地域別の現地情報です(2010-2015年頃)

ポーランド

1.外務省ホームページ 各国・地域情勢

ポーランド: http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/poland/index.html

基本情報サイト 

外務省「渡航関連情報」 http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/index.html
ポーランド情報館 http://www.polinfojp.com/
在ワルシャワ日本大使館(1週間毎に最新情報が手に入る) http://www.poland.pl/
JICA「国別生活情報」 http://www.jica.go.jp/seikatsu/europe.html

2.旅行情報(空港、ホテル、換金/TC、治安など)

入国

 現在,日本からの直行便はない。北経路(モスクワ,ヘルシンキ経由)か西経路(ロンドン,ウィーン他経由)(2012年に成田-ワルシャワ便開通予定 cf.LOT http://www.lot.com/
経由都市からは,地域都市(グダンスク,ポズナン,ヴロツワフ,クラクフ)にも乗入れ

治安

 概ね良好(犯罪率は日本の2倍程度。他の欧米都市と比べても特に悪くはない)
服装や行動,夜間は危険地域に入らない等の基本は守る。外国人が赴きやすい場所(国際列車,ターミナル駅,国際バスターミナル,外国人住宅街等)には窃盗団が出没しやすい
 一般に,2003年に暴力団間の抗争の激化等で治安が悪化したが,2004年のEU加盟以降,改善傾向にあるといわれている。ただしこれは政府が治安当局を増強し,検挙率をあげた成果にすぎず,今後,悪化する可能性も指摘されている
 近年では,貧困や格差を苦にして,暴行,強盗,薬物犯罪に手を染める未成年者が急増
 中国や韓国の方に比べると日本人は差別対象になっていないが,暴行を受けた同期日本人はいる

換金・TC

 空港,ホテル,銀行で可能だが,Kantorという看板を掲げた市内の私営両替商の方がレートはよい。どこでも確実に換金可能なのは米ドル。その日のレートが窓口脇に表示されているので,店舗間で比べるのもいい。手数料はとられない
 TCは街中でまず通用しない。換金レートも現金より悪い。主要クレジットカードは小売店でも通用する(JCBも使える)
 日本からの送金等を目的に現地で口座開設したい場合,入国時に荷物受取所向かいの申告場所で外貨申告を済ませておく。現地銀行は基本的にATM利用・振込手数料が無料。ネットバンキングも有
 シティバンクに口座があれば,ATMから現地通貨で引出し可。ただし日本と異なり,ATMが専用ボックス内に設置されていない。通りに面しておかれていることも少なくないため,通行人が取引を目視できてしまう。キャッシュカードのスキミング犯罪も増加しつつある
 2012年のユーロ導入完了を表明しているが,現時点では実現するか不透明。当分は,基本通貨ズウォティ(złoty=złないしPLNと表記),補助通貨としてグロシュ(grosz=gr。1zł=100gr)が流通し続ける可能性がある

各種移動手段:

 国内旅行に制限はない。飛行機,列車,長距離バス,自家用車等で自由に移動可能。国立公園は,環境保護の目的で車の乗入れを規制している場合がある

 自家用車……国際免許証で1年間,運転可

 レンタカー会社……Avis(http://www.avis.pl/)(0-8001-200-10 通話無料),Hertz( https://www.hertz.com.pl/ )(0-800-1-437-89)等。
オケンチェ空港に専用カウンター有

 中古車市場……信頼性に乏しいので,知人から譲り受けた方がよい
入手後は交通局に登録し,自動車保険の手続きをとる
 365日を通して(冬場は特に),昼夜問わず点灯が義務。左ハンドル,右側通行。交差点でも右側優先。横断歩道等で歩行者を待つ車がまずない等,運転が荒い(死亡事故が多い)。法定速度も日本のそれの+30km程度の設定

 市内バス(+トラム)(http://www.ztm.waw.pl/)……都市部の主たる移動手段。5:00~23:00まで稼働(23:00~5:00は夜行バス)
 乗車券はRuch(http://www.ruch.pol.pl/)という看板のあるKiosk(街中の緑色の小屋)や郵便局で購入。乗車時に運転手から購入もできるが,切らしていることがある
 切符は地下鉄を含む市内交通機関共通。ワルシャワは1回乗車につき一律2.80zł。他に24時間券,3日券,1週間券,1ヶ月券等がある。通常券はnormalny,国際学生証保持者を含む全日学生用の乗車券はulgowy
バスの路線図は市内地図(Plan Miasta)で確認できる
 バスの場合,乗車したらすぐにドア付近に設置された穴開け機に切符を通す(ピピと音がして,乗車時刻が印字される)。この改札を怠ると,検察官に無賃乗車扱いされて科料される(ワルシャワでは,紙製チケットで70zł,プラスチック製定期券で140złの罰金等。その場,もしくは1週間以内に払えば3割引)
長期滞在し,バスを頻繁に利用するなら,定期券を作った方が得(3,6ヶ月券)

 タクシー……無線タクシーを呼びだすのが一番安全かつ安価
代表的なタクシー会社として,09191で呼びだせるMPT(http://www.mpt.pl/)(オペレータに英語も通じる)。自分の電話番号,氏名を告げ,来て欲しい場所と時間を指定
空港でも1階ロビーにタクシー会社のカウンターがある。空港や主要駅,主な観光スポットで客待ちをしている個人タクシーは観光客目当てで,ぼられる可能性がある。運転手には英語がまず通じないので,行き先を紙に書いておくと安心。ワルシャワの初乗りは6zl

 国内バス……都市間移動にはPolski Express,農村部等への移動にはPKSが便利
PKS(http://www.ppks-siemiatycze.pl/)……車体が古く,汚いが,安価。全土にバス網を展開
Polski Express(http://www.polskiexpress.rozjazdy.pl/)……綺麗な車両だが,本数が少なく,運航路も少ない。運行ルートや時刻表を確認

 国内列車……PKP http://www.pkp.pl/
国内の移動をほぼ網羅。路線( http://www.pkp.pl/cop/mapa ),路線検索(http://rozklad-pkp.pl/)。時刻表は,同サイトでrozklad jazdyと検索
PKPやPKS等の切符は,Orbis(http://www.orbis.pl/)のような旅行代理店でも購入可
現在,地方への移動は時間がかかるが,高速道路,高速鉄道が導入されれば,大幅な短縮が望める。またこれによりポーランドが対欧州や欧州-ロシア間の物流拠点として経済的に飛躍する可能性もある

 山岳地帯,農村部等の場合:レンタカーサービスもなく,交通網も未発達。大半が自家用車で移動し,学生や主婦はバスを利用する。基本的に村人はとても親切で,様々な事柄で快く助けてくれるので,移動手段の確保も含め,村人と親しくなるのが生活の秘訣

地方都市での宿泊先の探し方

 e-holiday(http://www.eholiday.pl/)等で探す。ユースホステル以下の価格帯で泊まれる。

一般的な営業時間 平日 土 日・祝日

官公庁 8:00~16:00 
銀行 8:00~18:00 営業している銀行有
食料品店 6:00~19:00 ~14:00
衣料品・家電店 11:00~19:00 ~14:00
バザール 6:00~20:00
ショッピングモール 9:00~21:00 ~16:00 (Auchan等24h年中無休店も有)
Kiosk 確認中 ~14:00

3.医療情報

在外公館医務官情報 http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/europe/poland.html

注意すべき病気

ダニ脳炎:
都市部ではまず無縁。農村部,特に北東部の湖沼地帯に入る場合は注意が必要。防虫スプレーが有効。渡航前のワクチンの接種も勧められている

ポーランド風邪:
3月下旬の暖かくなる頃に罹患しやすい。湿度があがり,ウィルスの活動が活性化する一方で,厳しい冬を通じて身体が極度に疲労しているため

花粉症:
ポーランドに来て発症する日本人が少なくない。現地TVでは天気予報で各種花粉飛散情報も知らせてくれる

日常生活上の注意

水:
各市町村によって,水道水が飲料水として利用できるかどうかに差がある
ヴィスワ河から取水しているワルシャワの場合,水道水は飲料水として不適。富裕層は浄水器を完備。その他の住民は,スーパー等でミネラルウォーター(ガスなしniegazowanaを選ぶこと)を購入するか,地下水を汲んでいる。地下水の場合,煮沸して飲む
基本的に硬水なので,衣類等は洗ううちに生地が黄ばんでくる。黄ばみ防止の洗濯用洗剤も売られているが,漂白剤で黄ばみを白くする製品と推測され,生地が傷んでくることに変わりはない。洗濯機そのものの洗浄力が強いので,洗濯ネットを利用した方がよい

牛乳,卵,乳製品:
牛乳はパッケージにHACCAP等の認証マークが入った物を選ぶのが穏当。安価なものは製造過程で不純物が入るのか,消費期限まで保たないものが多かった(基本的に乳製品はヨーロッパ標準の低温殺菌法をとっているので日持ちしない)。卵はサルモネラ菌の被害があるため,生食を避ける

生鮮野菜,肉,家禽,パン類:
税金が安いという利点がある(標準課税率VATは22%だが,基本食品には0,3,7%の軽減税率が適用されている。レシートで各食品の課税率が確認できる)
都市部の外資大手スーパー(Auchan(http://www.auchan.pl/),Carrefour(http://www.carrefour.pl/),Tesco(http://www.tesco.pl/),E.Leclerc(http://www.e-leclerc.pl/)等)なら,主な生鮮野菜が年中,買える。大根,白菜や長ネギ等もあるバザールや街中の露天商では季節毎に品揃えが変わり,冬には夏野菜が姿を消す。家庭料理としてよく作られる発酵キュウリや,イチゴやブルーベリーのコンポート,臓物の煮込み料理は,冬場のビタミン確保に備えてのもの薬局やスーパーでビタミン剤が買える。ミネラル源としてドライフルーツ類が安価。Kasza(挽割りカラス麦)もミネラルや蛋白質に富む

街中のミルクバー:
安価に現地料理が楽しめるが,不衛生な場所も多い。現地の人に店の評判を確認する

病院

公共の医療機関:
電話番号112で救急車を呼びだせる(無料。112はEU共通の緊急連絡番号で,警察,救急共通。携帯からも同じ番号。ポーランドのローカル番号は999)。またはタクシーを呼び,Central Emergency Station ul. Hoża 56等の病院へ直接赴いてもよい
一般的に抗生剤の使用に慎重で,検査も滅多に行わない
医療制度改革の頓挫も影響し,医療水準は低いといわれている。ポーランド語が堪能でないと受診は困難。長期滞在の場合は家庭医(lekarz rodzinny)を確保すべし。全日学生なら保険に入れる

プライベートクリニック:
衛生面,設備面で優れており,富裕層や外国人に利用者が多い
メディカル・センター(Centrum Medyczne http://www.cm-lim.com.pl/)……マリオットホテル・リムセンター(ワルシャワ)3,7,9~10階。英語可。土日も一般・歯科診療あり。022-458-70-00で24h受付
EMC Istytut Medyczny……ドルノシロンスク地方中心に展開
Scanmed……クラクフ
Swissmed Centrum Zdrowia……グダンスク,グディニャ
Medicover……都市部をカバー

医薬品:
日本の市販薬,常備薬を一通り持参した方がよいが,現地でも薬局の他,スーパーや郵便局で買える。ネット薬局も有(i-apteka(http://www.i-apteka.pl/),apteka-OTC(http://www.aptekaotc.pl/),domzdrowia.pl(http://www.domzdrowia.pl/)等)
バファリンのような鎮痛・解熱剤としては,アスピリン,IBUPROMやAPAP等。ドイツ製市販薬も購入可。日本人には成分的にキツイことが多い。ハーブ薬を常備薬にしている家庭も多かった

4.通信環境

電圧

 電圧 200V 周波数 50ヘルツ コンセント C型もしくはC-2型。変圧器を持参すれば,日本の電気製品も利用可能

電話

 通信網の整備状況は良好。大半の家庭に電話がある。通話状況も良好。なお現地の賃貸住宅は,基本的に家具・電話付
市内局番にかける場合も,「0」を押し,「ブー」という発信音の後に市外局番から押す

国際電話

 一般電話,公衆電話,携帯電話から可能。Tele Pin(http://telepin.pl/)のプリペイドカード(Kioskや郵便局で購入)なら,公衆電話から国際電話を半額以下でかけられる

短期滞在研究者に向いたネット手段

ネットカフェ:
中規模以上の街中に点在(日本語環境)。経営が安定しないのか,開店しては閉店している印象

各大学図書館のLANや無線LAN接続スペース:
 
自分のノートPCを持ち込んで利用可

携帯電話:

携帯電話の普及率はPCと比べて非常に高く(前者は約8割。後者の家庭の保有率は2.5割程度),住民の多くは携帯のSMSで連絡をとりあっている。主な通信会社はIdea とEra(http://www.era.pl/pl/)。両社とも国土の90%以上,人口の95%以上をカバー。この携帯を利用してモバイル接続が可能
プリペイド式携帯電話なら,販売店で旅券を提示するだけで購入可能。最安機種で300zl程度。専用プリペイドカードはKioskやガソリンスタンドで購入できる。カードの裏にある番号を入力すると代金が充填され,使用可能になる

Google Public DNS:
接続の「プロパティ」→「インターネット プロトコル バージョン4(TCP/IPv4)」を開く→「次のDNSサーバーのアドレスを使う」にチェックを入れる→「優先DNSサーバー」を「8.8.8.8」,「代替DNSサーバー」を「8.8.8.4」に設定

無料アクセスポイント( http://www.tp.pl/prt/pl/klienci_ind/obsluga_klienta/pomoc_tech/internet/inne_opcje_dost/num_int/kon_pol_nr_int?_s=682565 )利用:
電話会社TP提供の無料サーバー。全国どこからでも市内料金で接続できる。プロバイダ契約は不要。接続中の通話料金のみ請求される。ダイアルアップ回線なので回線速度が遅く,混雑していることも多い
TP S.A.への接続方法
電話番号: 0202122 (全国共通)
「TCP/IP設定」でネームサーバーアドレスを指定する
優先DNS:192. 168. 1. 1
代替DNS:192. 168. 1. 1
ログインアカウント:ppp
パスワード:ppp

5.ビザ、調査許可

ビザ

短期滞在許可証 karta czasowego pobytu
日本の旅券なら,観光・商用目的で90日以内の滞在であれば,ビザなし入国が認められている。学生等の身分による長期滞在の場合,受入研究機関からの受入許可書をもって,在日ポーランド大使館で留学ビザを発行してもらう。代理・郵送による申請・受領も可
大使館は長期留学でも90日の学生ビザ(発行日翌月から3ヶ月間有効なビザ。例えば7月10日発行なら11月30日まで有効)のみを発給する。従って,現地で延長手続きが必須

必要書類

在学・在職証明書(Zaswiadczenie)
留学先の大学や研究機関の国際交流課等から発行してもらう。必須記載事項として,滞在期間,所属学部ないしは研究科,滞在中の身分。奨学生の場合は受給額も明記。自費留学生は別途,資金証明書を準備(在学中に必要な経費が賄える証明。具体的には,送金額や預金額を明記した書類やクレジットカードの表裏のコピー。最悪の場合,公認翻訳者によるポーランド語の翻訳をつけた日本での所得証明書の提出も求められる)

旅券(paszport / dokument podrży)
旅券の最初とビザのページのコピーを2枚ずつ用意。ビザのページは入国日が確認できるよう濃いめにコピーしないと,受取を拒否されるので注意

居住証明(Zameldowanie)
市役所等の地元行政機関で申請。登録,証明書代として11zł。ただし賃貸住宅なら大家が,学生寮では大学の寮が一切の手続きを代行し,費用も負担してくれる。移民局提出用にコピーを1部用意。原本は確認後返却される

顔写真(zdjęcja)(4.53.5cm ビザ・サイズ)4枚
ポーランドでは公式の証明写真について,若干斜めに顔を向けて左耳を見せ,カラーにして目の色を確認できるようにせよ,という規定がある。LEGITIMACJA用と指定しよう

カード取得申請書(Wniosek)
申請書はビザ・オフィスや大学の国際交流係,滞在地区の市役所等で入手可能。3部作成し,上掲顔写真を指定箇所に貼りつける(写真4枚目はビザカードに使用)

ビザオフィスでの手続き
提出・質疑応答の各部屋は2階,コピーや印紙の発行場所は1階
割高だが専門業者なので,ここにコピーを頼むと確実。収入印紙はWNIOSK1枚につき5zł,証明書類1部につき1.5zł必要とされているが,各担当官次第で最終的にどれだけの添付書類が求められるかが異なる。従って最低限だけ用意して,指示されたら追加購入するのが賢明

学割:申請料300zł+カード代50złのうち,カード代は申請書を提出すれば25złとなる
朝の受付時間開始時に行き,順番札をもらう必要があるので注意。その日の順番が取れなかった場合は,日を改めて再び順番待ち

申請後の流れ
申請書の内容に変更がある場合,受理日から数えて30日以内にその旨を,受理時の担当官に届けでる
7日後……受理の確認書が郵送されてくる
ポーランド語以外の言語でも受取可(英語等。日本語)。申請の際に希望を伝える
30日後……「決定Postanowienie」
Komendant Głwny Straży Granicznej (Al.Niepodległosci 100)から送られてくる。申請内容に疑義がある場合,この間に電話等で質問される
45日後……「決定Decyzja」
受理担当官から,カード発給許可が下りたと通知が届く。ビザ・オフィス(部屋番号1)にこのDecyzjaの受取に行く。受取には申請料+カード代の振込証明証が必要。申請料300złはUrząd Dzielnicy Środmieścieに,カード代25złはMazowiecki Uzrąd Wojewdzkiに納付を済ませておく
Decyzjaを受けとったら,区役所に赴き,新しい期限の居住証明を作成してもらう
60日後……カード取得
Decyzjaの交付から数えると2週間程度。受領の際は,Decyzja,旅券,新しいZamerdowanie(+コピー1部)を提示

現ビザオフィスの所在地
Mazowiecki Urząd Wojewdzki
Wydział Spraw Obywatelskich,
Oddział ds. Cudzoziemcw
ul. Długa 5, Warszawa

受け付け時間
月 10:00-15:00
火 10:00-15:00 
水 休み
木 10:00-15:00 
金 10:00-15:00 
土・日・祭日 休み

 以上は2004年時点の情報であり,現在はもっと迅速に手続きが進む可能性もある。英語を解する若手担当官も出てきた。ビザオフィスの待ち列には外資系企業相手のビザ専門業者が加わっており,親切に相談に乗ってくれる

 全手続きは,ビザが切れる45日前までに完了する必要がある。超過した場合は,「45日前までに手続きを完了できなかった特別な理由」を文書で提出し,その理由が正当なものである認定を受けなければならない。ギリギリに申請を始めて書類の不備等でまごつくと,ビザが切れる恐れがあるので注意

 2008年1月1日以降,シェンゲン協定実施。従って隣国に一時出国して観光ビザをリセットしても,滞在期間は延長できない    

調査許可 

調査中
軍施設,国境,空港内は撮影禁止
教会内での撮影も控えるべきとされているので,必要時は許可を得る

出入国関連

 入国に際しては,滞在可能な旅費を十分に所持している証明が必要。最低500zł以上,滞在日数100zł以上。現金の他,クレジットカードやTC等を提示。原則として外貨の持ちこみは無制限。持ちだしも10000EUR相当額まで証明書なしに可。酒類とタバコは,ワイン2L,タバコ250本までといった持ちこみ規制(免税範囲)がある
 1度に200zł以上の高額商品を購入した場合,未使用品に限り,付加価値税(最高22%)の還付が受けられる。購入時に書類を作成してもらい,出国時に税関に提出。証印をもらい,払戻窓口で見せる

6.カウンターパート、来日経験のある研究者

学術環境全般

 18歳(高校3年間ないし職業高校2年間)まで義務教育。教育水準は一般的に高い
約半数が高等教育機関(総合・専門・短期大学等)に進学。Absolwent(学士に相当)→Magister(dyplom)→Doktor(→Doktor habilitowany)と進む
 大学関係者は休暇(Wakacja 6~9月頃)に入ると,全く連絡がとれない。メールなら読んでくれる人もいる

ポーランド科学アカデミー(PAN) http://www.pan.pl/
科学技術戦略の立案を担う国立最高学術機関。ベルリン,ウィーン,パリ,モスクワ,ローマの海外5か所にも研究拠点をもつ。所属研究者は約6,900人。考古学・民族学研究所(http://www.iaepan.edu.pl/)はワルシャワの他,クラクフ,ウッチ,ポズナン,シチェシン,ヴロツワフにも支部をもち,蔵書は総計18万冊以上。民族学委員会(http://www.kometno.pan.pl/)は国際人類学・民族学連合と提携

総合大学の他,各種専門大学が各都市に点在

ワルシャワ工科大(http://www.pw.edu.pl/),ワルシャワ経済大(http://www.sgh.waw.pl/), KEN記念教育アカデミー(http://www.wsp.krakow.pl/),ポズナン医科大(http://www.am.poznan.pl/),ワルシャワ農業大(http://www.sggw.pl/)等

人類学(民族学)部・研究科

19世紀

民族学成立の背景:19世紀半ばのドイツ・ロマン主義,1870年代以降のオーストリアによる農業・産業振興政策やロシアによるシベリア抑留政策(A. Czekanowski=シベリア地質学,J. Kowalewski=ブリアート民族誌,W. Sieroszewski=ヤクート民族誌等)等
民族誌,民族学を表す術語としてludoznawstwo,etnografia,etnologia, antropologia
1895 第1回民俗学会(http://www.ptl.info.pl/)開催, Lud創刊。会長・編集長Antoni Kalina
大戦間期(1918~1939)

研究拠点:ポーランド技能アカデミー(PAU),ワルシャワ学術協会(TNW),ルヴフ大学(Uniw. Jana Kazimierza),ヴィルノ大学(Uniw. Stefana Batorego),ヤギェウォ大(http://www.etnologia.uj.edu.pl/)(1851 W. Pol講義,1926 K. Moszyński講座設置),ワルシャワ大(http://www.etnologia.uw.edu.pl/)(1935 C.B.de C.E=Jędrzejewiczowa講座設置),アダム・ミツキェヴィチ大(http://etnologia.amu.edu.pl/)(1919~J.S. Bystroń研究所設置)等

第2次大戦後(1945~)
領土西遷に伴い,ヴィルノ大学の教員はミコワイ・コペルニク大学(http://www.etnologia.umk.pl/)に,ルヴフ大学の教員はヴロツワフ大学(http://www.etnologia.uni.wroc.pl/)に移籍。J. Chałasińskiらを迎えウッチ大学(http://www.etnologia.uni.lodz.pl/)新設
主要テーマ:1950s…物質文化,1960s…農村生活,民衆芸術,1970s…象徴文化,1990s~…伝統文化,都市文化,マイノリティ,ポロニア集落,国外研究

日本語学科

1919年,ワルシャワ大学に最初の日本語講座が開設
現在はワルシャワ大学(http://www.orient.uw.edu.pl/pl/japonistyka/),ヤギェウォ大学(http://www.filg.uj.edu.pl/ifo/japonistyka/),アダム・ミツキェヴィチ大学(http://www.orient.amu.edu.pl/),ミコワイ・コペルニク大学(http://www.fil.umk.pl/pjkj/)に日本学科,また1994年に開校したポ-ランド日本情報工科大学(http://www.pjwstk.edu.pl/)に日本文化学部有

7.大学図書館、アーカイブス、本屋

図書館

ノートPC,最小限の筆記具以外,荷物の持ちこみは不可。鞄は図書館入口脇のコインロッカーに,コートはクロークに預ける。入口で警備員による荷物チェック有

大学図書館:学生証や研究者受入証明証で利用証(Karta Biblioteczna)が作れる。ワルシャワ大学図書館( http://www.buw.uw.edu.pl/ )の場合,その場で写真撮影。この利用証は年2zl程度を支払うと,ほぼ永年利用が可能なので便利

一般の図書館:旅券(ビザ)で利用証が作れる。利用期限は各図書館によって区々。ワルシャワ市立図書館( http://bip.koszykowa.pl/ )は査証内。国立図書館( http://www.bn.org.pl/ )は1年間。いずれも旅券や学生証等の提示で,一時利用可

蔵書検索:各図書館HPから可能。NUCAT( http://www.nukat.edu.pl/ )で横断検索
主要大学図書館以外は,基本的に閉架式。コピー機が利用者に開放されていない図書館もあり,その場合は司書にコピーを依頼する。マイクロ化サービスも有

国会図書館( http://libr.sejm.gov.pl/bibl/ ):国会,政府関連資料が閲覧できる。所属大学のサインを得た閲覧申請書(Podanie)を用意すると安心

アーカイブズ(Archiwum Akta Nowych) http://www.aan.gov.pl/

 国立最大のアーカイブ。閉架式。閲覧室でのみ閲覧可。ノートPCの持ちこみ可。コピー,マイクロ化を依頼できる

統計局(Głwny Urząd Statystyczny) http://www.stat.gov.pl/

 1789 F. Moszyńskiの進言で統計開始,1918 L. Krzywickiが創設。加工統計のみ閲覧可能

民族学博物館(Muzeum Etnograficzne)

 旧社会主義圏の特徴の1つとして,各都市に民族学博物館が存在する。ワルシャワ( http://pme.waw.pl/ )では図書室も併設。国内外の民族学(人類学,言語学,民俗学、音楽学等)文献や18世紀以降の国内民俗学文献を所蔵(総計26,000冊以上)

民芸品組合(Ceperia) http://cepelia.pl/

 全国芸術・民族誌委員会に認定を受けた刺繍作品や陶器,家具,クリスマスの飾り等が買える

コピー

 XEROもしくはKSEROという看板を目印に探す。ワルシャワ大学の学生は,大学裏のul. Lipowa 7-9のコピー屋をよく利用している。街中の張り紙や無料新聞の広告で,【A4 10gr.! ul.Polna 44】といった格安情報もみつかる。大抵のコピー屋は製本も頼める(リング製本)

書店

大まかな特徴
街中には,多くの書店と新古書店,古書店が存在
大抵の(大学)図書館には,販売コーナーが隣接
再版制がとられていないため,各店舗間で価格差があり,特売もある
一般書・一般雑誌は,スーパーにも販売コーナーがある

露天商……正規店より安価。落丁,乱丁等が多いとの噂も
PWN( http://ksiegarnia.pwn.pl/ ),Wydawnictwo Sejmowe( http://wydawnictwo.sejm.gov.pl/ )等の出版局は,直営店をもっている
社会主義時代は二束三文で購入できた書籍の値段は,年々上昇してきているが,西側の財団等の支援を得て,安価に価格設定された書籍もある

ワルシャワの大手:
Empik Megastore(http://www.empik.com/)……1948年設立の旧国営企業。マルチメディア全般を扱う。ソファー付読書コーナーもある先進的な書店。Ul. MarszawkowskaとUl. Nowy Światに店舗有り
Prus( http://prus24.pl/ )…………………1952年創業の旧国営出版局。ワルシャワ大学正門向かい。学術書が充実。学生証を見せると学割証(7%OFF)が作れる

雑誌類

民族学関連の主要専門誌……Lud(1895~),Prace Etnologiczne(1947~),Archiwum Etnologiczne(1951~),Prace Etnograficzne(1934~1939),Prace i Materiały Etnograficzne(1947~),Rocznik Orientalistyczny(1914~)

8.機材・資料の持ち出し、持ち込み

テレビ放送システム(PAL)

 日本の映像規格(NTSC)と異なるので,録画しても日本国内向ビデオデッキで再生できない
 DVDのリージョンコードは2。PCなら再生可

郵便事情

 サービス全般はPoczta Polska( http://www.poczta-polska.pl/ )を参照
郵便局員のモラルが低く,紛失・盗難被害が出ている

郵便局の営業時間:
ワルシャワ中央郵便局(ul. Świętokrzyska 31/33)は年中無休24h営業
他地域でも大都市の中央郵便局は24h営業,各支局は8:00~20:00営業が多い

不在者通知(zawiadomienie=配達通知書):
通知書をもって用紙に指定された郵便局までとりにいく(POCZTEXなら再配達依頼も可)

POCZTEX(郵便小包。EMSに相当):
通常,日曜・休日を除く3~4日で日本に着く。利用する場合,無地の段ボールを用いる。文字や絵が印字された段ボールは,上から紙を貼って無地にしないと,窓口で受取を拒否される

SAL便:安価。船便よりは早く着く

特別郵袋M:(Worek specjalny M http://polish-post.pl/dtf_listp_zagranica_worekm.htm
書籍やコピー等の印刷物を簡易小包にし,それをずた袋に入れて送る方法。印刷物の大量輸送にむいている。日本からも同サービス有
書籍,コピー等の印刷物を5kg内で梱包する
紐,包装紙、紙袋が無難だが、ビニールシートの梱包でも受けつけてくれる。包み毎に宛先とDrukを明記
ワルシャワ中央郵便局の場合,受付窓口は34,35番
34番では計20kg,35番では計30kgまで一度に計量できる。5kg一包みの送料(税別)は,普通便(zwykle)25zl。書留(polecone)85zl(アジア地域)
梱包方法に関する注意
5kgを超えると,500g超過毎に,5zl課金される(計算は個数5kgなので6kg+3.5kgという組みあわせでも2個料金で済む)
5kg(1包みの重さ)5~6ヶ+750g(ずた袋の重さ)=30kg以下である必要がある
経験的にこの方法が最安で盗難被害もなく,到着も早い。ワルシャワから発送して4日後には,日本の地方都市に到着していた
農村・山岳地帯の場合,外国への荷物は本局までもっていく必要がある

国際宅配サービス:
DHL( http://www.dhl.com.pl/ ),UPS( http://www.ups.com.pl/ ),FedEx( http://www.fedex.com.pl/ ),Servisco( http://www.servisco.com.pl/ )で詳細を確認

書籍の国外持ち出し:
1945年以前発行の書籍の持ちだしには,国立図書館の許可が必要。とはいえ現地オンライン書店で購入し,日本に郵送して貰った際,許可証の発行手続きはなかったので,どこまで厳密に審査されているのか不明

9.調査グッズの現地調達

日用品

 キッチン用品はスーパーやIKEA(http://www.ikea.com/pl/),LeroyMelin( http://www.leroymerlin.pl/ )等で購入可。日本の調理器具はSushi-Shop( http://sushi-shop.pl/ )を参照。醤油等の調味料はアジア食品店(MASALA( http://www.masala.com.pl/ )やJAPANFOOD( http://www.japanfood.eu/ )等)の他,大手スーパーでも買える。ネットスーパー(alma24( http://alma24.pl/ )やPiotr i Pawe( http://piotripawel.pl/ )ł等)も利用できる。衣類は全般的に高価。サイズも大きめ。下着や靴下の類は日本から持参すべき。防寒具は現地製品で間にあう

文具類や電池,カセットテープ,フィルム,CDR,DVDR等

 スーパーやOffice Depot( http://www.officedepot.pl/ )のような専門店で揃う
フィルムの現像も可能。当日もしくは翌日には仕上がるし,質も日本のそれと変わらない(現像屋はKodak,Fuji,Konicaといった看板を目印に探すとよい)

電化製品

 現地で購入可(ElectroWorld( http://www.electroworld.pl/ )やMediaMarkt( http://www.electroworld.pl/ )等)。全般的に日本よりも高いので,ICレコーダーやデジカメ,ビデオカメラは持参が無難

10.日本人研究者情報/これまでの調査、科研

 旧社会主義圏研究の共通点として,歴史学,政治学,経済学,文学研究(もしくはそれを基礎とした地域研究)を中心に発達。人類学(民族学)研究は遅れている

 現地の人類学(民族学)研究者と,いわゆる西側のポスト社会主義人類学者との間の交流は確実に進展
一例として,季刊誌Kultura Popularna 2005 nr4に,Elizabeth DunnやFrances Pineら,ポスト社会主義人類学者の業績のポーランド語訳が掲載。東欧各国の人類学・民族学研究者による自国研究史総括として,Chris Hann et al. 2005. Studying Peoples in the People's Democracies: Socialist Era Anthropology in East-Central Europe. Münster: Lit Verlag; 2009.Studying Peoples in the People's Democracies II: Socialist Era Anthropology in South Eastern Europe. Münster: Lit Verlag.も既刊

 ≪若手≫言語学……森田耕司(ヤギェウォ大学),野町素己(スラブ研究センター)

11.そのほか、各地域情報など

生活習慣

 基本的な挨拶方法は握手。男性から手をとる仕草をされたら,女性は右手の甲を差しだす

「名の日(imieniny)」:
誕生日の代わりに祝う(現地カレンダーには「今日はAnnaの日」等と記載有)

クリスマス:
家族で過ごした後,近隣の親戚宅めぐりをする。テーブルには必ず来賓席が設けられている。プレゼント交換も有。プレゼントの中身は,基本的にもらい手が普段の生活で愛用しそうで,それでいて通常なら購入しないような少し贅沢なもの,という基準で選び抜いているようだった。親戚宅訪問の度に,ウォッカで乾杯し,クリスマス料理を食べるので,各回の食事量に注意した方がよい

その他,ホームパーティ一般:
ポーランド人は人を自宅に招いて,ホームパーティを開くのがとても好き
花やお茶菓子の類を持参すると喜ばれる。招待されたら,男性は基本的にネクタイ着用。ウォッカを出すのは最上のもてなし。注いでもらう時のカップはテーブルの上においたまま,手だけ添える。自分で注ぐのは厳禁。ウォッカはアルコール度数が高いので,事前にチョコレートやチーズを食べて胃に膜を作っておく
経験的に,席上の話題としては身近な人の噂話の他は政治論議が多く,年配の男性ではポーランド史話が多い
小さな子供がいるご家庭なら,「ポケモン」等,日本のアニメ作品グッズや話題があると歓迎される

文化関連の無料行政サービス:*:博物館・美術館は週に1度,無料開放日がある。夏季は無料コンサートが多い

トイレ表示: 男性● 女性▲ 有料の場合,1zl程度

チップ: 総額の1割が相場だが,端数を渡せばまず問題ない

気候

 首都ワルシャワの緯度で,カムチャツカ半島辺りに相当するため,気候としては北海道以北のそれを想定しておくとよい。基本的に南東部が大陸性気候,北西部が海洋性気候

夏季:
平均気温は20℃前後。30℃以上まであがることもある。湿度が低く,殆ど汗をかかない。8月には街路樹が色づき始める。9月の第3週頃に10℃ほど急に気温が下がり,冬に突入
夏至の頃は22:00頃まで薄明るい
サマータイムは3月最終日曜日2:00~10月最終日曜日3:00の間(+1時間)

冬季:
冬は-20℃近くまで下がることがあるが,平均は-5℃前後。2~3℃まであがる日は,日中に溶けた雪が夕方の冷込みで凍結し,路面がもっとも滑りやすく危険
防寒対策は,帽子,マフラー,手首まで隠す手袋,厚手の靴下,厚底ブーツ(ゴム地で1.5cm以上)を着用し,身体から熱が逃げないように工夫すること
都市部ではカロリフェルと呼ばれる集中暖房装置が配備されており,屋内は暖かい。山岳部・農村部では薪をくべる暖炉で暖をとる家も少なくない
カロリフェルは室内をひどく乾燥させる。就寝時等は,加湿器を使うか,濡らしたタオルをカロリフェルに掛けたり,床に霧吹きで水をかけたりして,咽対策を図る
学生や企業関係者はサウナ(プールやジムに併設)に通い,代謝維持に努めていた
日照時間は短い。体感的には8:00を過ぎても薄暗く,14:00過ぎには日が暮れ始める

「経済」

 現地の平均給与を反映して,ZaraやH&M等の外資カジュアルブランドが人気。日本のユニクロに相当するアパレル会社としてReserved
スーパーマーケット+各小売店で構成される大型ショッピングモールが多いが,この形態は,社会主義時代からdom handlowy, dom towarowy(Centrumと呼ばれることが多い)として既存
 各都市の人口の購買能力を遙かに超過するペースでショッピングモールが増設され続け,進出,買収等による市場の変化も目まぐるしい。例えば2009年11月にはワルシャワ中央駅隣接のGaleria Centrumが閉店。1991年に開店した最初の外資スーパーBillaは,2001年にAuchanに売却されEleaと改名されたが,2005年に再進出
 EDLP(Codziennie niskie ceny)を掲げるBiedronka( http://www.biedronka.pl/ )や,PB商品を扱うLeader Priceもあり,日本の消費市場との同時代性も感じさせる。2007年にはセブンイレブンも進出

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