フィールドワーカーから寄せられた地域別の現地情報です(2010-2015年頃)
サウジアラビア
1.外務省ホームページ 各国・地域情勢
サウジアラビア王国: http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/saudi/index.html
2.旅行情報(空港、ホテル、換金/TC、治安など)
サウディアラビアへ行くには
・日本からサウディアラビアへの直行便はない。首都リヤドへの渡航の場合、エミレーツ航空(成田または関空ードバイーリヤド)、カタール航空(成田または関空—ドーハ―リヤド)、エティハド航空(成田—アブダビーリヤド)などのアラブ系航空会社のほか、キャセイ・パシフィック(成田または羽田または関空—香港—リヤド)、シンガポール航空(成田または関空—シンガポールーリヤド)などが一般的なルートとなっている。
入国時の注意点
・豚肉、酒やポルノ系の雑誌は持ち込みが禁止されている。
服装・言動に関する注意点
・男女ともに服装や言動などに留意が必要だが、スリなどの心配はほとんどなく治安は良い。女性は、外国人であってもアバヤ(黒い長衣)頭から被るスカーフを着用することが求められる。空港到着時は着用しなくても良いとされているが、可能であれば入国時までに入手しておくことが好ましい。なお、サウディアラビアの空港ではアバヤは販売していない。ドバイ経由などでサウディアラビアの入国する場合は、ドバイの空港免税店などでアバヤとスカーフを購入できる。
・男性も短パンなど過度に肌を露出する服装は避けることが求められる。
・男性はむやみに現地の女性に話しかけたり、ジロジロと見るのは避けるほうが良い。
・ラマダーン月(断食月)は、特に服装規定に注意する必要がある。屋外での飲食も避けたほうが良い。ホテル内のレストランなどでの飲食は可能。
市内への移動
・空港から市内への移動は、タクシーを利用する。メーターを利用するのが一般的である。英語が通じないこともある。市内まで渋滞なしでも30分〜40分程度はかかる。現金のみ。クレジットカード不可。
交通機関と渋滞
・公共の交通機関としては、リヤドとダンマームを結ぶ長距離列車がある。また市内にも路線バスがあるが、バス停や運行表などはないため、旅行者には利用が難しい。旅行者はタクシーを利用するのが良いだろう。メーターを使いたがらない運転手もいるので、最初はメーターを利用するのが安心。ただし、乗車前に交渉すればメーターよりも安く利用できることもある(上級者向け)。
・礼拝時間の前後を中心に道路が渋滞するので、時間に余裕を持って行動するほうが良い。近距離でも歩道が整備されておらず、徒歩で移動できることはほぼない。交通事故が多発していることや、自動車保険が義務づけられていないことなどに留意する必要がある。
・外国人が自動車を運転する場合、国際免許に加えて滞在許可証が必要である。このため旅行者がレンタカーで移動するのは現実的ではない。また女性は滞在許可証があっても運転は禁止されている。
両替
・日本ではサウディ・リアル(SAR)への両替は一般的ではない。現地のホテルでは両替できる。ただし日本円からの両替については確認が必要。市内の銀行ATMで、クレジットカードまたは国際利用可能な銀行カードを使って現金を引き出すのがもっとも便利で簡単である。ショッピングモールやレストランでは、クレジットカードが使える店も多い。
ホテル
・ホテルは都市なら五つ星からユースホステルまで多数ある。オンライン予約が可能なホテルも多い。
・スポーツジムやプール、サウナを設置しているホテルでも女性は通常、利用できないので注意が必要。
・豚肉と酒はホテルでも提供されない。
買い物
・都市であれば、ショッピングモールが複数ある。お土産はショッピングモールのほか、スーク(市場)などでも購入できる。
・礼拝時間には店舗はシャッターを閉めて一時休業となる。
・休日は、木・金。金曜日の朝はショッピングモールや商店は休業していることが多い。ラマダーン中も夜中心の営業となることが多い。スーパーマーケットはタミミ、カルフールなど24時間営業のところが多い。
食事
・都市には各種レストランがあり、フレンチ、イタリアン、中華、インド、タイ、日本料理など何でもある。
・レストランやカフェ利用時は、チップを置くのが一般的。
・レストランやカフェは通常、シングル(男性のみ)とファミリー(家族連れ)とに別れている。男性のみで入店する場合はシングルから、男女混合で入店する場合はファミリーから入る。
インフラ
・電気や水などのライフラインは安定している。
・乾燥している内陸部ではミネラルウォーターを携行し、意識的に水分を補給することを勧める。
災害
・地震は少ないが、西部では近年、洪水が多い。年間を通じて降雨量が少ないため、道路は構造上、水はけが悪い。日本人から見れば少量の雨でも洪水のようになることがあるので、降雨時は外出に注意が必要。
市内視察/観光
・ツアーバスなどはないので市内視察や観光は各自でアレンジすることになる。観光スポットは男性のみの時間帯と家族の時間帯などに分けられていることが多いので、事前に確認してから訪問するのが良い。
3.医療情報
気候と伝染病
・巡礼客の多い西部を中心に、時折、黄熱病やリフトバレー、鳥インフルエンザなどの伝染病が発生することがあるので注意が必要である。
・内陸部は年間を通じて乾燥が激しいため、ミネラルウォーターを携行し、意識的に水分を補給することを勧める。
・年間を通じて気温が高く、2月から11月までは半袖で過ごせる。7、8月には43度程度にまで気温が上昇する。冬は12月〜1月で、コートが必要な日もある。
・オフィスや家庭では冷房が効いていることが多いので、温度調節が可能な服装が好ましい。
病気になったら
・街中に薬局は多くあるため、薬の入手には困らない。ただし、体格の差などもあるため、常備薬などはあらかじめ日本から携行するのが好ましい。
・公立と私立の病院がある。公立病院は主に自国民のためのものである。外国人は、高額だが私立の病院を受診することになる。リヤドならキングダム・ホスピタルなどが有名。
4.通信環境
インターネット
・都市部であれば、安宿以外のホテル、スターバックスなどのカフェでインターネット接続が可能である。Wifi対応のPCや携帯電話が便利。
電話
・公衆電話はほとんどない。携帯電話が普及しているので、SIMフリーの携帯電話機を携行すれば、現地で購入したSIM カードを使用できる。支払方法には月定額制もあるが、プリペイド式もあるので、旅行者にはプリペイドが便利。
郵便
・リヤド中心部ではタハッスシ道路とアブドゥッラー道路の交差点付近やインターコンチネンタルホテル付近に郵便局があるが、旅行者が郵便局や郵便ポストを探すのは容易ではない。割高だがホテルなどで発送や投函してくれることもあるので問い合わせると良い。
5.ビザ、調査許可
入国にはビザが必要。身元引き受け人となってくれるカウンターパートを通じて、許可番号を請求する必要がある。許可番号が発行されたら、所定の旅行代理店を通じて入電作業を行い、サウディアラビア大使館にてビザの発給を受けることができる。カウンターパートが外務省に申請を開始してからビザを入手するまで、通常、最短でも1ヶ月はかかるので、余裕をもって申請するほうが良い。ビザ申請の手続きは変更になることがあるので、申請時にサウディアラビア大使館領事部のホームページを確認する必要がある。
6.カウンターパート、来日経験のある研究者
7.大学図書館、アーカイブス、本屋
- キング・ファイサル・イスラーム研究センター
- キング・ファハド図書館
- キング・アブドゥルアジーズ図書館など
- 本屋:オベイカーン・ブックショップなど
8.機材・資料の持ち出し、持ち込み
持ち込み
特に問題ないと思われるが、ものによってはカウンターパートと相談するほうが良い。
持ち出し
特に問題ない
9.調査グッズの現地調達
文房具はブックショップで購入できる。携帯電話機もどこでも入手可能で、SIMカードを購入すれば簡単に通話が可能となる。
10.日本人研究者情報/これまでの調査、科研
自然環境、歴史、政治、経済、宗教、文化など各分野で活躍する研究者など
宗教: 森伸夫、中田考
経済: 福田安志
政治: 小杉泰、保坂修司
歴史・外交: 中村覚
自然環境: 縄田浩志
11.そのほか、各地域情報など
(2013年2月現在 辻上奈美江)